やさしい日本語やAI活用、多様な読者にニュース届ける取り組み
やさしい日本語やAI活用、多様な読者にニュース届ける取り組み

朝日新聞は2025年10月から、ウェブで「やさしい朝日新聞」の配信を始めた。グループ企業のソフトウェア開発企業「アルファサード」との共同運営で、朝日新聞に掲載された記事を、簡単でわかりやすい「やさしい日本語」に書き換える。内容は経済から災害、地方の祭りなど様々で、1日10本程度の記事を配信する。

やさしい日本語で伝える工夫

記事にルビを振ったり、単語の間にスペースを入れたりといった機能も選べる。読み上げ機能もあり、日本語を勉強する外国人や障害のある人らにも触れやすい工夫を施す。

「ニュースの前提を補足し、背景を知らない人にも分かりやすいようにしている」と、アルファサードの大房秋臣さんは話す。例えば、談合事件の記事では、「談合」とはどういう犯罪なのかという説明を加えた。長い文章を二つに分ける時もある。

やさしさは、外国人や障害者だけに向けたものではない。大房さんの元には、小中学生の保護者などから「これなら子どもも読めそう」「普通の新聞より分かりやすい」といった声も届いているという。

紙面とデジタルをつなぐQRコード

より多様な情報を届けようと、新聞紙面の記事に付くQRコードも増えている。例えば、朝日新聞朝刊の3面にある「ひと」欄にもQRコードが付くことがある。スマホなどで読み取ると、記事で取り上げた人の動画が見られる。口笛世界大会覇者の記事だと、1分程度の本人の演奏だ。

国土交通省の下水管点検に関する記事では、QRコードを使って市町村別の老朽化率が分かるデジタル版の記事につなげた。紙面には限りがあるため、入りきらない情報をデジタル版と併用して届ける試みだ。

紙面編集部の酒井範政次長は「多様なコンテンツが朝日新聞にはあることを、紙面の読者にも知ってもらいたい。QRコードで紙面とデジタルをつなぐことで、ニュースの理解がより深まれば」と話す。

AI音声読み上げと要約機能

デジタル機器を使って、「目で読む」以外の方法でニュースに触れる機能も拡充している。スマホなどを使って紙面の形で新聞記事が読める「紙面ビューアーアプリ」では2024年から、一部の有料会員向けに、記事をAI音声で読み上げる機能をつけた。家事や車の運転といった作業の間に、音声で情報を得たいというニーズもあるという。

担当するデジタル事業本部の高嶋将之さんは「細かい文字を読むのがつらくなった紙面読者が、再び新聞に触れるきっかけにもなったらうれしい」と話す。読み上げ速度の変更や、連続再生できるようにも改良した。

朝日新聞アプリでは7月から、一部の記事で「AI記事ガイド」が利用できる。AIが記事の要点を2~3行でまとめる機能だ。開発者のひとり、デジタル事業本部の土田瞳さんは「まずはざっくりと内容をつかめるので、時間がない中でも読みたい記事を選ぶヒントになる」と言う。国際や政治のニュースなど、徐々に対象を広げている。