岩井コスモ証券へのサイバー攻撃、相場操縦が目的か 不正発注で株価つり上げ狙う
岩井コスモ証券へのサイバー攻撃、相場操縦が目的か

岩井コスモ証券(大阪市)の売買管理システムがサイバー攻撃を受け、顧客の意図しない株式の売買注文が行われた問題で、親会社の岩井コスモホールディングス(HD)は23日、「相場操縦が目的だった」との見解を示した。

会見で陳謝、経緯を説明

大阪市内で同日、岩井コスモHDが記者会見を開いた。冒頭、沖津嘉昭会長と笹川貴生社長が「多大なるご心配、ご迷惑をおかけし深くおわび申し上げる」と陳謝し、不正売買の経緯を説明した。

岩井コスモHDによると、14日午前、社員が顧客以外の誰かが取引を行っていることを覚知した。システムの運営を委託しているトレードワークス(東京)に連絡し、通信機能を遮断する措置をしたが、既に4975口座が不正アクセスを受け、氏名や口座情報などが閲覧できる状態になっていた。4975口座のうち7口座で不正発注が発生し、5口座で売買が成立していた。

侵入経路と攻撃の手口

社員が顧客に代わって口座情報などを見られる「オペレーター画面」に入る際、外部からのアクセスを拒否する機能が不十分で、岩井コスモHDは、ここから不正に侵入されたとしている。

15~17日にかけて、パスワードなどを入力して顧客口座への不正ログインを試みる「ログインチャレンジ」が計730万件以上あったことも発表した。いずれも未遂だった。同社は通信機能の遮断によりアクセスできなくなったため、AI(人工知能)による総当たり攻撃に切り替えたとみている。

相場操縦の可能性と損失負担

不正な売買が行われた5口座の取引は12銘柄計約125万株だった。多くは市場での流通量が少なく、少量の売買で激しく値動きする「品薄株」だったことから、沖津会長は「(犯人は)相場操縦が目的で、メールアドレス(などの顧客情報)には関心がないのではないか」との見解を示した。不正売買で得た金で、特定の銘柄の株を購入し価格をつり上げることを狙ったとみられる。

損失はトレードワークスが負担する方針で、トレードワークスは23日、一連の対応で5000万円の損失を見込んでいるとし、同社の26年12月期決算で特別損失として計上すると発表した。