NTTドコモは2026年をめどに、スマートフォンと人工衛星を直接接続する衛星通信サービスの商用化を発表した。このサービスは、現在の携帯電話基地局がカバーできない山間部や海上、離島などでも通話やデータ通信を可能にするもので、まずはテキストメッセージ(SMS)の送受信から提供を始める。その後、音声通話やデータ通信にも順次対応する予定だ。
衛星コンステレーションと既存端末の活用
ドコモは、米ASTスペースモバイル社と連携し、低軌道衛星を多数打ち上げて衛星コンステレーション(衛星群)を構築する。これにより、ユーザーは現在使っているスマートフォンに特別なアプリやハードウェアを追加することなく、衛星通信を利用できる。ASTスペースモバイルは、衛星とスマートフォンの直接通信技術で先行する企業で、ドコモは出資も行っている。
ドコモの担当者は「山岳遭難や海上での事故など、緊急時の連絡手段としても大きな価値がある。また、観光客や漁業関係者、離島の住民など、幅広い利用が期待される」と説明する。サービス開始当初は、テキストメッセージのみの対応となるが、2027年以降に音声通話、2028年以降にデータ通信(低速)へと拡大する計画だ。
競合との差別化と事業インパクト
現在、衛星通信サービスは専用端末が必要な衛星電話(イリジウムなど)が主流だが、ドコモのサービスは一般のスマートフォンで利用できる点が最大の特徴だ。KDDIも米スペースXのスターリンクと提携し、衛星通信サービスを計画しているが、ドコモは「他社と違い、特別な端末やアプリが不要で、シームレスに切り替わる」と優位性を強調する。
ドコモは、このサービスを「非地上系ネットワーク(NTN)」と呼び、5Gの次の世代(6G)を見据えた技術基盤としても位置づける。2023年5月には、ASTスペースモバイルの衛星を使った世界初の音声通話実験に成功している。商用化後の料金は未定だが、既存の携帯電話契約にオプションとして追加される可能性が高い。
一方、課題も残る。低軌道衛星の打ち上げコストや、衛星の数が限られることによる通信容量の制約だ。ドコモは「まずは緊急時や利用頻度の低いエリアに焦点を当て、段階的にエリアを拡大する」としている。2026年のサービス開始に向け、今後、衛星の打ち上げ数や具体的なサービスエリアを順次公表する方針だ。



