元横綱照ノ富士が弟子への暴行で降格処分 自主報告により減軽適用
日本相撲協会は4月9日、伊勢ケ浜親方(元横綱照ノ富士)が弟子の幕内力士・伯乃富士に暴行を加えた問題について、降格と減俸の懲戒処分を下したことを明らかにした。協会の規定に基づき、伊勢ケ浜親方が自主的に事案を報告したため、処分が減軽される特例が適用された。
飲食店でのトラブルが暴行に発展
協会の調査によると、問題は今年2月、東京都内の飲食店で発生した。酒に酔った伯乃富士が後援者の知人女性に対して不適切な言動を行ったことに立腹した伊勢ケ浜親方が、感情的に暴行に及んだという。現場は私的な飲食の場であったが、師弟関係における暴力行為として協会の規程違反に該当すると判断された。
自主報告が処分減軽の鍵に
伊勢ケ浜親方は事態を協会に報告し、2月下旬には伯乃富士とともに協会のコンプライアンス委員会の聴取に応じた。日本相撲協会の暴力行為禁止規程では、「自主申告したときは、懲戒処分を減軽または免除することができる」と定められている。この規定が適用され、本来より軽い処分となった背景には、早期の報告と協力的な態度が評価されたことがある。
角界最大勢力を率いる親方の不祥事
伊勢ケ浜親方は2025年1月に現役を引退し、同年6月には定年を迎えた先代師匠(元横綱旭富士、現・宮城野親方)から伊勢ケ浜部屋を継承した。今年の春場所時点では、幕内と十両の関取7人を含む計31人の力士が所属しており、角界で最大の勢力を率いる親方として注目されていた。今回の不祥事は、そうした立場にある人物によるものだけに、相撲界内外に与える影響は小さくない。
伯乃富士の複雑な経歴
被害を受けた伯乃富士は、もともと元横綱白鵬(既に退職)の弟子として宮城野部屋に所属していた。しかし、2024年春に宮城野部屋で発生した力士の暴力問題を機に同部屋が事実上閉鎖されたため、伊勢ケ浜部屋へ移籍していた経緯がある。今回の事件は、移籍先の師匠との間で起きた新たなトラブルとして、相撲界の師弟関係の在り方に改めて疑問を投げかける形となった。
日本相撲協会は、暴力行為が繰り返されることのないよう、今後も厳格な対応を続ける方針を示している。一方で、自主報告による処分減軽の適用が、暴力防止の抑止力として十分かどうかについては、専門家の間で議論が続いている。



