平野歩夢、骨折の重傷から奇跡の復活で決勝進出
【ミラノ=読売取材団】第25回冬季オリンピックミラノ・コルティナ大会は第6日の2月11日、スノーボード男子ハーフパイプ予選が行われ、連覇を目指す平野歩夢(27)が85.50点で7位となり、上位12人による決勝への切符を手にした。日本勢は戸塚優斗(24)が2位、山田琉聖(19)が3位、平野流佳(23)が5位と、4人全員が予選を突破する快挙を達成した。
「戻れる可能性が1%でもあるなら滑りたい」
平野は1月17日のワールドカップで着地に失敗し、顔と膝を強打。診断結果は骨盤を構成する腸骨の骨折という重傷で、直後は車いすと松葉づえが必要な状態だった。それでも「戻れる可能性が1%でもあるなら滑りたい」という強い思いでイタリアに乗り込み、わずか約3週間で競技に復帰した。
予選では万全の状態には程遠く、技の難度を下げざるを得なかったものの、縦2回転、横4回転を成功させるなど、経験と技術でカバー。1回目の滑走では会場からどよめきに似た歓声が沸き起こり、2回目は体勢を崩す場面もあったが、確実な滑りで予選通過を決めた。
「悔いなく、シンプルにやるべきことをやるだけ」
予選後、平野は笑顔を見せながら「このけがの状態にしては、良い滑りができたほうかな」と振り返り、「やりたいこととは違う形だったけど、痛みありきだったのでしょうがない」と率直な心境を語った。そして決勝への意気込みを「自分が積み上げてきたものを出し切れればなと。悔いなく、シンプルにやるべきことをやるだけ」と力強く表明した。
一方、フリースタイルスキー女子モーグル決勝では、冨高日向子(25)が78.00点で4位となった。3位と同点だったが、ターン点のわずかな差でメダルに届かず、惜しい結果に終わった。
手負いの前回王者が不屈の精神力で戦いの舞台に戻り、五輪連覇への挑戦を続ける平野歩夢。その覚悟とシンプルな姿勢が、ミラノの雪原に新たな伝説を刻もうとしている。



