創部3年目で早明戦実現、消防士辞めた学生監督の夢 女子野球
創部3年で早明戦、消防士辞めた監督の夢 女子野球

2025年8月、神奈川県内の球場で「女子野球初の早明戦」と銘打った軟式野球の試合が行われた。早稲田大学女子軟式野球部WASEBIと明治大学女子硬式野球クラブが対戦し、明治が18-3で勝利した。

消防士から学生監督へ

明治大の女子硬式野球クラブは2022年春、学生監督の藤崎匠生さん(28)が創設した。高知中央高で甲子園を目指した藤崎さんは、卒業後に外部コーチを務めた母校の女子硬式野球部が2021年夏の全国高校女子選手権決勝を甲子園で戦った姿に感動。部員の進路相談で「野球を続けたいが場所がない」という声を聞き、女子が野球を続けられる環境を作ろうと決意した。歴史ある東京六大学を目指し、明治大農学部を受験して合格。それまで消防士として働いていたが辞めて24歳で上京した。

SNSをフル活用して選手を集め、2022年5月に約10人で練習を開始。現在は大学公認サークルだが、体育会系部になるにはさらに10年の活動実績が必要という。練習場所の確保は難しく、屋外の人工芝バレーボールコートでノックや打撃を行うこともある。

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選手たちの思い

主将の飯野菜桜さん(2年)は小中学校で軟式野球を経験、ドイツの高校ではサッカーをし、大学で野球に戻った。「戦略を考えて勝つのは楽しい。複雑なプレーで連係ができた時にチームの絆が深まる」と語る。野球未経験の森珠緒さん(2年)は早明戦で「人生初ヒット」を放った。「母が野球経験者でよくキャッチボールをしてくれた。硬式の方が音がいい」と笑う。

昨年は硬式の大会登録が間に合わず前半は軟式で活動し、夏の全日本大学女子選手権(軟式)で1勝。今年度から硬式の大学連盟に加わり、5月の全日本大学女子春季大会では強豪相手に2試合とも2桁失点で敗れたが、適時打で初得点を挙げた。エースの柴田優衣さん(2年)は「投手として試合を作れるように、チーム全体で抑えたい」と目標を語る。チームは8月31日開幕の全日本大学女子硬式選手権に臨む。

早稲田と慶応の協力

早稲田大女子軟式野球部WASEBIは創部30年。今春1年生10人が加わり部員22人。8月の全日本大学女子選手権で4強入りを目標とする。所属する関東リーグのチーム数減少で公式戦が少ないため、慶応大などと合同の「東京六大学」チームを結成し、女子軟式野球リーグに参加している。早稲田の主将・山田理紗さん(4年)は「男子に負けないように女子も六大学野球を広めたい。ゆくゆくは全部の大学に参加してもらえたらうれしい」と話す。慶応の小原彩楓さん(3年)は「慶応も人数を増やそうと頑張っている。早稲田と一緒のチームで伝統のユニホームで試合ができるのは男子ではありえない」と笑う。

遠距離監督の夢

藤崎さんは今春大学を卒業し、郷里の高知県で公務員として働きながら「遠距離監督」を務める。「勝ち負けより大事なものがある。楽しさを求めて野球を好きになってほしい。東京六大学全てに女子野球の輪を広げたい」と語る。東京六大学野球連盟は昨年100周年を迎え、女子も歴史を作ろうと歩み始めている。

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