視覚障害の陸上選手・嶋津雄大(26、GMOインターネットグループ)が、アジア・アジアパラ大会2026の5000メートルで金メダルと世界新記録を目指す。生まれつきの難病を抱えながら、健常者とパラリンピックの両方でロサンゼルスを目指す異例の挑戦に臨む。
視野の狭まりに恐怖を感じたレース
6月に行われた健常者の日本選手権5000メートル予選。嶋津は号砲とともに先頭へ飛び出した。「最近視野が狭まってきて、外側から来る選手が見えないのが怖くて。なので、覚悟を決めた」と理由を明かす。決勝進出は逃したが、新たな挑戦に踏み切れたレースを前向きに振り返った。
創価大時代に箱根駅伝で2度の区間賞を獲得し、今年1月の全日本実業団対抗駅伝では2年連続の6区区間賞でチームの初優勝に貢献。第一線で活躍する裏側では、生まれつき抱えている難病の「網膜色素変性症」が進行を続けていた。
世界新記録で悲願の日本代表
1万メートルなどの長距離種目で好記録を狙うレースは、気温が下がる夜間に行われることが多い。視野が狭まる中で他の選手との接触リスクが高まり、「タイムを出すことに限界を感じている部分がある」と明かす。
そんな折、日本パラ陸上競技連盟からパラ競技挑戦のオファーが届いた。「自分の目の状態と、2028年ロサンゼルス(パラリンピック)が見えてきたタイミングを照らし合わせて」参戦を決断した。
パラ陸上デビュー戦となった4月のモロッコでの国際大会では、長距離移動や時差ぼけに苦しみながら、5000メートル(視覚障害T13)でいきなり14分3秒45の世界新記録をマークした。大学時代にコロナ禍の影響で、世界ユニバーシティー大会への出場が幻となった経験がある。思い焦がれてきた日本代表のユニホームをまとい、「悲願を達成できた。ワクワクする気持ちで走れた」と感慨深げだった。
アジアパラで弾みをつける
世界記録保持者として臨むアジアパラでは「金メダルはもちろん、新記録も目指したい」と意気込みつつ、「オリンピックもまだ諦めていない」と語る。今大会の後はマラソンに向けた準備に移行する。オリパラ二刀流でロスを狙う異例の挑戦へ、名古屋で弾みをつける。
伴走の有無はクラスに応じて
アジアパラの長距離種目は5000メートルのみで、パラリンピックと異なりマラソンは行われない。視覚障害のクラスは障害の程度によりT11~13に分かれ、T13は選手のみで走るが、全盲などのT11は伴走するガイドランナーが必須。T12は必要に応じて選べる。