アジア大会ローイング、桜間達也が男子シングルスカルで金に挑む
アジア大会ローイング、桜間達也が金に挑む

アジア競技大会(アジア大会)のローイングが9月21~24日に長良川国際レガッタコースで行われる。日本代表の重点強化種目である男子シングルスカルに出場する桜間達也(29)(NTT東日本)は、大学入学を機に競技を始め、11年で日本のトップ選手となった。自国開催の大会で、アジア大会史上初の金メダルに挑む。

世界選手権から3週間、帰国後すぐの国際大会

桜間にとって今回のアジア大会は、オランダの首都アムステルダムで8月24~30日に行われたローイング世界選手権から、わずか3週間ほどでの国際大会となる。同選手権には男子シングルスカルで出場し、37人中20位という結果だった。

世界選手権では2000メートルの距離を3回、全力で漕いだ。大会後の疲労が懸念されたが、帰国後に東京・海の森水上競技場で日本代表の強化合宿に参加した桜間の表情は爽やかだった。

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「時差ボケなどもありましたが、良い状態に戻せてきた。自国開催だと『頑張れ』と日本語で聞こえるのがうれしい。いつもの自分でレースに臨めそうです」

大学での出会いが人生を変えた

京都市出身の桜間。ローイングとの出会いは同志社大学入学時にさかのぼる。長身に目をつけたボート部員たちからキャンパス内で押しの強い勧誘を受け、最初は興味がなかったが、母・圭子さんの「これは行った方がいいと思う」という助言を受け、軽い気持ちで新歓イベントをのぞいた。そこで見せられた部の紹介ビデオで、必死にボートを漕ぐ選手らの姿が深く胸に突き刺さり、「ここなら4年間を一生懸命に過ごせるのではないか」と心を強く揺さぶられ、入部を決心した。

それまでも小中では野球、高校では陸上の中距離に取り組んできたが、とりわけ目立った活躍をする選手ではなかった。しかしローイングでは、陸上の中距離で鍛えた短距離のスプリント力と長距離の持久力が、2000メートルでの速さを競うローイングでも生きた。180センチ台後半の長身ゆえの長い手足は、一回の漕ぎを長くできる点で有利だった。

「これまでの人生は、ローイングをやるためにあったのかもしれない」と本気で思うほど競技に向いており、入部後初めて取り組んだエルゴメーターのタイムトライアルで、いきなり部内トップの数値をたたき出し、周囲を驚かせた。

「元々、性格的に『スポーツに向いていない』と言われたこともあるくらい、野心むき出しというタイプではなかった。それが力をつけるにつれて『もっと速くなりたい』という欲がどんどん出てきて。自分の知らない自分に、ローイングが出会わせてくれました」

国際大会での実績とキャプテンとしての立場

練習を重ねるうち水上での技術も磨かれ、大学3年では全日本大学選手権(インカレ)の男子シングルスカルで優勝。大学卒業後は実業団のトップチームとして知られるNTT東日本の漕艇部に加わり、より高いレベルで切磋琢磨できる環境に身を置いた。ベトナムのハイフォンで昨年行われたアジアローイング選手権では、宮口大誠(NTT東日本)と2人乗りの男子ダブルスカルで優勝するなど国際大会でも実績を残し、現在はキャプテンにも就任している。

ローイングの魅力を桜間はこう語る。

「ローイングは基本的に『漕ぐ』という同じ動作の繰り返し。その『漕ぐ』という動作は、オールを水にどう入れるかなど細かな動作の組み合わせで成り立っている。一つの動作を改善するだけで、驚くほどスピードが変わることもある」

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「感覚としては、自分という刀を極限まで研ぎ澄ませるのに近い。自分も最初は『単調では…』と思いましたが、やればやるほどに複雑かつ繊細なスポーツだと分かりました。そういう職人気質な点が、カッコいいと思って漕いでいます」