キッコーマンは米国で3か所目となるしょうゆ工場を本格稼働させ、18日に記念式典を開いた。10月から瓶詰め商品の出荷を始める。1973年に米国で現地生産を始めてから半世紀余り。需要の高まりを受け、新工場を活用して増産を進める方針だ。
新工場の概要と投資計画
新工場は米中西部ウィスコンシン州ジェファーソンに建設した。初年度は主力瓶で約1300万本に相当する4000キロ・リットルを生産する。工場建設を含めた投資総額は10年間で5億6000万ドル(約870億円)に上る見通しで、将来の拡張も視野に入れる。
キッコーマンは売上高の5割を米国を中心とした北米で稼ぐ。米国市場でしょうゆの売り上げは右肩上がりで伸びており、今後10年でさらに3~4割増を見込む。茂木友三郎名誉会長は18日の記念式典で「高まる需要に対し、顧客が期待する一貫した品質とものづくりへの敬意で応えていく」と力を込めた。
米国進出の歴史と市場浸透
同社の米国進出は1957年に遡る。カリフォルニア州に販売会社を設け、73年にはウィスコンシン州ウォルワースで米国初のしょうゆ工場を稼働させた。98年にはカリフォルニア州フォルサムに第2工場を開設した。
現地生産開始から半世紀余りがたち、しょうゆは米国の食卓に浸透した。式典に出席したウィスコンシン州のトニー・エバーズ知事は記者会見で「知事公邸でも肉や野菜料理にしょうゆを日常的に使っている」と述べた。
販促戦略と今後の課題
家庭用しょうゆ市場でのキッコーマンのシェア(占有率)は57%に上る。定着を支えたのは、しょうゆを日本食の調味料として売るだけではなく、現地の食文化に入り込ませる戦略だ。しょうゆが肉料理に合うことを前面に出し、スーパーで試食販売を展開。米国の日常的な料理で使えるようレシピ開発にも力を入れた。
こうした地道な販促は現在も続き、毎年200種類のレシピを打ち出す。9月にニューヨーク郊外で開いた料理イベントでは、しょうゆやぽん酢、てりやきソースを使い、アジア料理以外への応用を紹介した。
イベントを共催した独刃物メーカー大手ツヴィリングのバーナード・ヤンセン氏は「しょうゆはアジア料理だけのものではない。チリ料理に加えれば味に深みが出るし、伝統的な米国式バーベキューのマリネにも使える」と話す。
茂木氏は「しょうゆは米国の国民的調味料になりつつある」と手応えを語る。今後は米国で培った現地の食文化に溶け込む戦略を欧州やアジアにも広げ、北米に次ぐ市場を育てられるかが課題となる。



