辻内彩野、アジアパラ大会の種目成立待つ…前回は選手不足で不成立
辻内彩野、アジアパラ大会の種目成立待つ…前回は選手不足で不成立

今秋に愛知県を中心に開催されるアジアパラ競技大会(読売新聞社協賛)に向け、パラ競泳の辻内彩野さん(29)=三菱商事=は出場種目が実施されることを待ち望んでいる。大学入学直前に進行性の黄斑ジストロフィーと診断され、視覚障害が判明。幼少から続けてきた競技の場をパラ競泳に求め、秋の大会を目指す。

種目成立の連絡待つ日々

パラスポーツは、様々な障害がある選手が競い合う。競技の公平性を保つ意味からも、障害の種類や程度別に細かく競技の種目が定められている。こうした配慮は必要不可欠だが、種目が細分化されると、同じレベルの障害をもった選手が集まりにくいというデメリットもある。

辻内さんが挑む「弱視」の種目は「S12(アジアパラ競技大会ではS13と統合して開催)」。「日常的にメガネによる視力の矯正はできないほどで、日中でも信号を判断して道路を渡ることが難しい。赤は分かっても青が分からないことがある」という。パラ競泳では、自身が出場する種目で、3か国以上から5人以上の選手が集まらないと、その種目は成立しない規定がある。前回の中国・杭州アジアパラ大会では、日本代表選手になりながらも、アジア各国から選手が十分に集まらず、種目不成立となった経験をもつ。

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愛知・名古屋大会では、種目成立の条件が緩和され「2か国以上から4人以上の選手の出場」に変更となったが、種目が成立するかという不安は消えない。今は、競技事務局からの連絡を待つ日々だ。アジアパラ大会は、翌年の世界選手権につながる意味で大事な大会だ。そして、その翌年の米ロサンゼルス・パラリンピックにつなげていきたいと考えている。

持ち味は「緊張しないこと」

小学校3年生の時に、妹とともに水泳教室に通い始めた。父親は水泳の指導者だったが「父から厳しく指導を受けた記憶はない」という。むしろ、水泳経験豊富な母親から熱心な指導を受けて成長していったという。

持ち味は「緊張しないこと」だ。国内大会と世界大会の違いは、「場内で流れる言葉が違う豪華な大会ということだけ」と考えていて、緊張は全くないという。練習通りに本番でも力が発揮できるが、その練習で準備が不足すると、たちまち結果に影響してしまう点が課題だという。

得意は100メートル自由形

インターハイやジュニア五輪にも出場するなど次第に頭角を現していったが、大学入学直前の診察で「進行性の黄斑ジストロフィー」と診断され、パラ競泳に活路を見いだす。「それまでも、何となく見えにくくなったという自覚はあったが、仮性近視だと思っていた」という。視力は次第に衰えていくが、選手としての力量の積み上げがあったので、練習はそれまで通り、健常者に交じって続けた。パラ競泳に転向後、しばらくすると視力が落ちていき、ターンをする際の壁への距離感などがつかみにくい時に「タッピング」という合図をしてもらうなどの、工夫は取り入れるようになった。

アジアパラ大会では〈1〉100メートル自由形、〈2〉200メートル個人メドレー、〈3〉100メートル平泳ぎ、〈4〉100メートル背泳ぎ、〈5〉50メートル自由形――の5種目での出場を目指す。2024年のパリパラリンピックで銅メダルを取得したのは得意の100メートル自由形だった。「ここはしっかり頑張りたい」と、自信をもって頂点を目指す。他の種目も、「メダル射程圏内」との認識で、よい準備が出来つつあるという。日本で開かれ、多くの関係者が訪れる大会になる。「自分としては日本記録を更新できるかどうかをみていてほしい」と話す。

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更なる高みを目指す

大会では、ライバル選手と会えるのも楽しみにしている。ウズベキスタンの選手とはSNSで交流を続けているほか、多くの海外の選手との交流もあるという。

あこがれるのは、パラ競泳の成田真由美選手(故人)だ。国際大会で同じ宿舎で交流したことがあり、その人柄に惹かれたという。「選手としても素晴らしい人だが、日常でも雰囲気作りなどが上手で、自然と成田さんのまわりに人の輪ができる。私もそういう選手になりたい」と話す。

アジア大会の直前の10月に30歳を迎えるが、特別な気構えはないという。「長年競技を続けた成田さんに比べると私はまだまだカワイイ存在」と笑って、競技人生の更なる高みを目指し続ける考えだ。アジア大会での種目成立を待ちつつ、その時に備える。