愛知・名古屋アジア大会の女子スラローム・カヤックシングルで1日、伊藤くるみ(極洋)が優勝した。同種目の日本勢の金メダルは、2018年ジャカルタ大会の矢沢亜季(システックス)以来2大会ぶり。男子スラローム・カナディアンシングルで、足立和也(SUS)は6位だった。
ゴール後、コーチから「1位だよ」と伝えられ天を仰ぐ
無我夢中でゴールまでこぎきった最終走者の伊藤は「タイムが分からなかったんで、不安があった」。川岸で喜び合う日本のコーチたちから「1位だよ」と伝えられると、天を仰いで喜びをかみ締めた。
3年前の杭州大会は途中棄権、悔しさ胸に再挑戦
3年前の杭州大会は、決勝でスタート直後に右肘をカヌーに強打。しびれが続くままにレースを進めたが、ゴール手前で転覆して途中棄権した。その悔しさを胸に刻み、アジア大会の舞台に戻ってきた。
準決勝では、各国・地域から1人しか決勝に進めない状況で、先にスタートした五輪3大会出場の第一人者・矢沢が好記録を出し、「攻めないと、自分が決勝に行くことはない」と覚悟を決めた。ゲートぎりぎりを攻めながら一度も接触のない会心のこぎで、矢沢の記録を上回った。
決勝はペナルティーも切り替え、攻めの姿勢貫く
決勝は中盤でゲート接触による2秒のペナルティーを受けたものの、すぐに気持ちを切り替えた。最後まで攻めの姿勢を貫き、頂点をつかみ取った。
今春から、同学年のパリ五輪男子カヤックシングル代表で今大会銀メダリストの田中雄己(ミキハウス)と練習を共にし、巧みに波を利用する技術を吸収。「グレードアップした自分を見せられる」と自信を持って今大会に臨んだ。
昨年、カヌーを始めた中学時代から指導を受けた藤野強さんが死去。同じく藤野さんの教え子だった田中に続き、表彰台に立った伊藤は「いい報告ができてよかった」。天国の恩師にささげる金メダルだった。