柔道の世界選手権バクー大会第2日が5日に行われ、男子66キロ級で阿部一二三(パーク24)が決勝でスペイン選手を背負い投げで破り、2023年以来となる5度目の優勝を果たした。連覇を狙った武岡毅(同)は3位決定戦を制して銅メダルを獲得。女子52キロ級では阿部詩(同)が2年連続6度目の頂点に立ち、阿部兄妹の世界選手権同日制覇は2023年大会以来4度目となった。
準決勝で日本人対決を制す
開幕前日の練習から闘志をみなぎらせていた阿部一は、「ロサンゼルス五輪に向けて絶対に落とせない大会」と意気込んでいた。初戦から続いた苦戦を勝ち抜き、準決勝では武岡との日本人対決に臨んだ。先に指導を二つ受ける劣勢で迎えた残り30秒、投げに来た武岡の隙を捉えて隅落としで有効を奪い、さらに大内刈りで有効を重ねて決着をつけた。
阿部一にとって負けられない理由には、ライバルの存在がある。東京、パリ両五輪の代表を目指す過程では4学年上の丸山城志郎が立ちはだかり、丸山が昨年引退すると、今度は同じ所属で2学年下の武岡が台頭してきた。「なかなか楽にさせてくれない。僕はそういう運命」と受け止め、「そういう存在がいるから強くなれる。だから僕はうれしい」と語った。
決勝は豪快な一本勝ち
決勝ではスペイン選手に豪快な背負い投げで一本勝ちし、「きょうは苦しい時間も続いたが、最後に自分らしい技を出せて良かった」と振り返った。宿命を力に変え、野村忠宏以来となる五輪3連覇へ向かっている。
女子52キロ級の阿部詩にとって、アゼルバイジャンのバクーは特別な地だ。18歳で初出場した2018年大会で、兄・一二三と初めて兄妹優勝を飾った。「あの優勝で自分の道が変わった。もう一度ここで勝ちたい」と臨んだ。
詩は延長戦を制して6度目
ドイツ選手との準々決勝では裏投げで技ありを奪われるピンチを迎えたが、終了4秒前に相手へ三つ目の指導を出させて逆転勝ち。決勝でもスペイン選手と延長戦までもつれ込み、圧力をかけ続けて相手への指導三つで勝利をつかんだ。「この日は難しい試合ばかりだったが、それも想定して稽古してきた」と振り返った。
「初めて出た時は何も知らない状況だった。当時と違って、今年は自分との戦い」とこの8年間の歩みにも思いを巡らせた阿部詩。柔道人生のターニングポイントとなった場所で遂げた6度目の優勝は、円熟期を迎えた26歳にとって大きな意味を持つ。