アジア競技大会(読売新聞社協賛)の聖火リレーが29日、愛知県内で行われた。22日の名古屋市内でのリレー後、二つに分火された聖火は、Aコースで小牧市から名古屋市守山区、尾張旭市を経て瀬戸市へ、Bコースで豊橋市から田原市、新城市を経て豊川市へ、それぞれつながれた。
田原市では柳田はるかさんが伴走者とともに
田原市のシンガー・ソングライター、柳田はるかさん(40)は、沿道の声援を受けながら、同市内のコースを伴走者の又川明希さん(33)と走った。「見えないけど、たくさんの方から声援が届き、感動して泣きそうなのを何とかこらえました」と語った。
柳田さんは高校1年生の時に網膜色素変性症と診断され、視覚障害者となった。幼い頃からの夢だった保育士として働き、2人の子どもを育てる中で視力が徐々に低下した。2017年にギターを始め、半年後に日本テレビ「24時間テレビ」に親子で出演。一青窈さんの「ハナミズキ」の伴奏を務めた。番組で出会った石原さとみさんに背中を押され、同年に視覚障害者団体「さくらんぼ」を設立し、音楽や講演を通じて視覚障害への理解を広げる活動を続けている。
その後、シンガー・ソングライターの藤田麻衣子さんと共演し、オリジナル曲「ありがとう」を共作した。現在はギターやピアノの弾き語りで活動し、田原市のオリジナルソング「いいじゃん田原」も手掛けた。近年はマラソンにも取り組み、家族で市内の大会に出場している。昨年10月には田原市PRサポーターに就任し、生まれ育った田原の魅力を発信する一方、障害の有無にかかわらず交流できる場づくりにも取り組んでいる。
豊川市では渡辺いっけいさんが「舞台並み」の緊張
豊川市陸上競技場のコースを走り終えた俳優の渡辺いっけいさん(63)は「舞台の初日や千秋楽並みに緊張した」と笑顔で語った。同市一宮地区で生まれ育った渡辺さんは、高校時代の文化祭での芝居をきっかけに俳優を志し、舞台を中心に活動。NHK連続テレビ小説「ひらり」などへの出演で知られるようになり、現在もドラマや映画、舞台で幅広く活躍している。2019年から同市の広報大使(今年4月から応援大使)を務め、動画番組などで故郷の魅力を発信している。「応援大使なのに、みんなに応援してもらい、ありがたかった」と市民の温かい声援に感謝した。
小牧市では寺本明日香さん、豊橋市では柏原竜二さんが聖火を運ぶ
小牧市では、体操で2012年ロンドン、16年リオデジャネイロと2大会連続で五輪に出場した同市出身の寺本明日香さん(30)が聖火ランナーを務めた。トーチを持ち、手を振りながら走った寺本さんは「(トーチの)重さは軽いけれど、東京、広島、名古屋とつながれた聖火の重みを感じました」と振り返った。3年ほど前からアジア大会を多くの人に知ってもらう活動を続けてきたといい、「いよいよ開催されるというワクワク感を感じました。大きな国際大会が開かれることで、子供たちがスポーツを始めるきっかけになればいいと思います」と期待した。
豊橋市では、福島県いわき市出身の柏原竜二さん(37)が「PRランナー」として聖火をつないだ。東日本大震災で故郷が被災した柏原さんは「震災とか水害とか暗いニュースが多い中、被災者が一瞬でもつらさを忘れることができれば」と語り、「走る姿を見せることで元気や勇気を与えられれば」との思いで豊橋市中心部を駆け抜けた。東洋大時代には箱根駅伝5区を4年連続で走り、全て区間賞。3度の総合優勝に貢献し、「山の神」と呼ばれた。2017年に現役引退し、現在はスポーツ解説の傍ら同大大学院で社会心理学を学び、スポーツの魅力を伝えるとともに大会を盛り上げている。



