大津市のマイネットスタジアム皇子山で7月13日、滋賀大会2回戦が行われた。この日の最高気温は32.9度。正午に始まった第1試合の五回終了後、球場スタッフがグラウンドの整地に入る一方、選手たちは冷房の利いた部屋に引き揚げ、クールダウンを行った。この大会では、脚がつるなど熱中症の症状を訴えた選手も出ており、来年の課題となりそうだ。
47チームが計46試合を繰り広げた滋賀大会は、2球場が会場となり、1日に最大6試合が行われた。このうち、夏休み前の7月7~10日と13日の5日間は、2球場で正午から2試合ずつ、計10試合というスケジュールが組まれた。最高気温が34.1度まで上がった日もあった。
なぜ正午から始めるのか
正午開始について、滋賀県高野連は「午前中に授業がある学校への配慮」が理由と説明する。選手に加え、応援する生徒らに授業を終えてから球場に行ってもらおうという判断だという。
ただ、「正午から始めても選手は調整や移動で授業は受けられない。応援する生徒も試合開始に間に合わない」(県立高野球部の元主将)という声もある。県教育委員会の担当者は、授業時間に配慮するための正午の試合開始は慣例とする一方、「暑さの中でのプレーは近年ますます過酷になっている。2部制への移行を考える必要性は感じている」と説明した。
保護者から不安の声
記者が滋賀大会を取材していると、正午開始に首をかしげる観客に何人も出会った。スタンドから試合を見守った選手の母親(49)は「昼の一番暑い時間帯に始まるので、熱中症が心配」と案じていた。
県高野連も手をこまぬいていたわけではない。ナインがいるベンチに大型扇風機やウォーターサーバーを設置し、各チームにシャーベット状の飲料を配布したほか、守備が20分を超えた場合は給水タイムを設けた。ある高野連関係者は「本当は朝から試合がしたい」と漏らした。
甲子園では二部制
夏の甲子園では、2024年から朝夕の2部制が導入されている。日本高野連の井本亘事務局長は、「気温が上昇して熱中症が出やすい午前11時から午後2時頃の時間を極力避けたい」と強調した。
甲子園にならい、三重、富山などの大会は2部制を導入した。昨夏に導入した三重大会は、授業のない土・日曜日に試合を組みつつ、校長会の了承を取って予備日を平日とした。富山大会では昨夏、熱中症による救急搬送は観客を含めてゼロだった。静岡など、試合開始時刻を午前中に設定した大会も目立った。
2部制を採用した大会では試合の合間が長くなったことで、観客の入れ替えが円滑になったり、駐車場の混雑が緩和したりする「副次効果」もあったという。
専門家の見方
関西大の神谷拓教授(スポーツ教育学)は「授業を優先すべきだという考えは正論だが、選手らの健康管理は大前提だ。授業と大会を両立するためには、2部制を実施している地域の例を参考に、他の都道府県でも導入を検討していくべきだろう」と話す。



