ホームの宝来屋ボンズアリーナは、ライブ会場のような大音量の音楽と、チームカラーである紫色の照明による派手な演出で観戦ムードを盛り上げる。合間には、専属チアリーダーズが華麗なダンスを披露する。
無料招待がきっかけで昨年10月から観戦を始め、ファンクラブにも入会した郡山市の女性(30)は「一体感のある(アリーナの)空間が好き」と熱心に声援を送る。小学生ら2人の子どもと一緒に観戦を楽しみ、すっかり魅了された様子だ。
5013席に増設したアリーナ
アリーナは市による大規模改修を経て昨年4月にオープンした。Bプレミアの参入基準を満たすため、約2500席増やして5013席を整備。大型モニター4台も設置し、光の演出も可能になった。
運営会社で集客戦略を担う仲亀敦さん(43)は、家族の「休日の外出先」になることを意識したという。ターゲットは小学生以下の子どもがいる30~40歳代の家族層。大人も子どもも終日楽しめるよう、福島競馬場や警察、消防などと連携し、ポニーと触れ合える体験や「働く車両」への試乗も実施する。仲亀さんは「また来てもらえるよう、ボンズの『商品価値』を高めることを意識した」と話す。
来場者IDを把握する3段階戦略
昨季の平均観客動員数は過去最高の4239人で、2024~25シーズンの2019人から倍増。増加率はB1・B2リーグで最も高く、売上高も12億円に達した。
Bプレミアの参入基準を満たすために重視したのは、来場者のIDを把握する3段階の戦略だ。仲亀さんによると、プロスポーツの集客では、シーズンで3回来場すれば習慣的に足を運んでもらいやすくなる「3回の壁」がある。この壁を乗り越え、固定ファンを増やすことが不可欠だった。
まず、地域イベントへの参加を通じたPRだ。子どもたち向けの練習会やあいさつ運動などに選手らが約600回参加し、試合への無料招待もした。申し込み時に無料通信アプリ「LINE」で「友だち登録」してもらい、直接連絡できるようにした。
次に、試合終了直後など熱気が冷めぬ間に、指定席を割安で購入できるクーポンなどを配布し、再来場のきっかけを作った。3回目の来場時には、応援グッズなどの特典と引き換えに、Bリーグチケットの購入サイトへの登録を促した。
チケット売り上げは前半比145%
この戦略が奏功し、昨季は後半のチケット売り上げが前半比で145%、有料の観客数は同157%となった。招待で来場した人の4割ほどはその後、チケットを購入した。仲亀さんは「チームが強くなり、アリーナの改修で演出効果も高まったことで、観客動員を押し上げた」と分析する。
9月からの新シーズンも、Bプレミア参入基準の平均観客動員数3000人、売上高9億円を目指す。最短で、29~30シーズンでのBプレミアへの参入をうかがう。仲亀さんは「福島ゆかりのコンテンツや地元団体との連携を加速させる」と意気込んでいる。



