熊本県氷川町の70歳代女性が、車中泊中に熱中症の疑いで死亡したことが2日、分かった。一人暮らしの女性は連絡が取れず、心配した妹が7月30日夜に自宅を訪ねたところ、エンジンが停止した車内でぐったりした状態で見つかったという。
近所で車中泊をしていた60歳代男性は「30日の夜は空調を18度に設定しても蒸し暑かった」と話した。
同県宇城市の広域拠点避難所の駐車場に止めた車で避難生活を送る男性(55)は、右脚に障害があり、車いすや松葉づえがないと移動できない。ほとんどの時間を車内で過ごし、夜も車中泊をしている。車は避難中に損傷した道路の段差に乗り上げ、タイヤがパンク。何とか避難所にたどり着いたが車は動かせない。事情を知った人が携行缶でガソリンを届けてくれた日もあったが、節約のためエンジンを止める時間もあるという。
暑さに我慢できなくなると約100メートル移動して避難所で涼み、水や食料を持って再び車に戻る。腎不全を患い、人工透析も週3日行っており、水分の取り過ぎにも気をつけている。男性は「他の被災者や職員に迷惑をかけたくない」とつぶやき、「10年前の地震でも車中泊をしたが、暑さが一番の違い。しんどいです」と口にした。
過去の地震でも7割超が経験
2016年4月の熊本地震でも多くの被災者が車中泊を選んだ。内閣府が17年に公表した調査では、地震の避難者800人のうち74・5%が車中泊を経験したと回答。理由では▽余震への恐怖▽高齢者や幼い子ども、ペットがいた▽空き巣が気になった――などが挙げられた。
市担当者「全容把握難しい」
今回、震度7の揺れに見舞われた宇城市の担当者は、「民生委員らが車中泊で体調を崩している人がいないか見回ってくれているが、市で全容を把握することは難しい」とこぼす。
緊急消防援助隊が呼びかけ
県内で活動する緊急消防援助隊は2日、避難所で熱中症予防の呼びかけを始めた。同県八代市の指定避難所では、避難者らに啓発用のチラシを配布した。
この避難所には約120人が避難しており、そのうち半数が65歳以上の高齢者だ。冷房の利いた部屋で体を休めているが、野外の仮設トイレで気分が悪くなった高齢者もいるという。
八代市職員の森田享さんは「ストレスや暑さで疲れた様子の方も増えてきた。声かけや見回りにも気を配っていきたい」と語った。
3日も酷暑日予想
気象庁によると、熊本県内では2日、熊本市で最高気温が38・9度に達するなど5か所で観測史上最高を更新し、宇城市で37・5度、八代市で36・8度を記録した。3日は熊本市で40度以上の「酷暑日」が予想されている。同庁は「こまめに水分を補給し、体を冷やすなどして過ごしてほしい」と警戒を呼びかけている。



