この夏に愛媛県内で猛烈な暑さが続いて雨も少なかったことで、農産物の生育に影響が出ている。温州ミカンの収穫期が早い「極早生」は実が割れる被害が相次いだ一方、例年より甘く仕上がった。中山栗は粒が小さい傾向で収穫量が激減。異常気象に振り回された生産者が、ようやく実りの秋を迎えている。
極早生ミカン、実割れ相次ぐも糖度は高く
9月中旬、ミカン産地の宇和島市吉田町で、赤松果樹園の赤松政紀さん(53)が、極早生のなり具合を確かめていた。外皮が裂け、割れた部分にカビが生えた実が1本の木にいくつも見つかり、「ここまで割れたミカンが多いのは初めて」とつぶやいた。
市内では、7月中旬から8月末にかけ、ほとんど雨が降らなかった。JAえひめ南(宇和島市)によると、順調な生育には10日間で50ミリ程度の降水量が必要とされるが、8月の降水量は41.5ミリで、平年の2割にとどまった。同JAは9年ぶりに干ばつ対策本部を設置し、対応にあたった。
9月に入り、待望の雨が降った。台風24号の影響で4日だけで降水量は64.0ミリとなって8月の1か月分を上回り、農園を潤した。
糖度は平年より2.4度高く、生産者は「収穫が楽しみ」
しかし、干ばつ直後に大量の雨が降ったことで、果肉が水分を一気に吸い上げたのに対し、外皮の成長が追いつかずに裂けるケースが続出。赤松さんは、定期的にスプリンクラーで水をまいていたが、急斜面で水やりの届かない木では、4%以上の実が割れているのを確認したという。
一方、極早生の甘味が濃縮されるという思わぬ影響もあった。同JA管内の調査では、糖度が8月末時点で11度を上回り、平年より2.4度も高かった。赤松さんは「少し収穫量が減ることは痛いが、この時期に糖度が2桁になることはなかなかない。収穫が楽しみ」と顔をほころばせた。
中山栗は小粒傾向、出荷量は昨年の6割の90トン見込み
愛媛は日本有数の栗の産地として知られ、中でも伊予市中山町の特産・中山栗は、大粒で上品な甘さが人気を集めるが、今年は大きくならず、収穫前に落ちる栗も多かったという。
中山町などを管轄するJAえひめ中央(松山市)によると、今年は収穫が少ない「裏年」だった上、猛暑や干ばつの影響で生育が3~5日遅れ、全体的に小粒の傾向。例年並みに品質の良い栗に仕上がっているが、管内の10月中旬までの出荷量は昨年の6割ほどの90トンと見込む。
地元の「なかやま栗センター」では、収穫が遅れた影響で毎年恒例の焼き栗販売を昨年より5日遅い9月17日に始めた。豊作だった昨季は春先まで販売したが、担当者は「なくなり次第終了する。凶作で栗の確保が難しく、毎回午前中で完売している」と頭を悩ませる。