子供の虐待死77人、横ばい傾向 育児困難な家庭への支援を
子供の虐待死77人、横ばい 育児困難家庭への支援を

虐待やその疑いで令和6年度に亡くなった子供は77人に上ることが、こども家庭庁の専門委員会の検証で分かった。全国の自治体への調査に基づくもので、痛ましい死が横ばい傾向で減少に向かっていない。憂慮すべき状況だ。

「心中」の名称を見直し、虐待の認識を明確化

専門委は今回、これまでの「心中」と「心中以外」という分類の名称を見直し、「保護者の自殺を伴う虐待死」とそれ以外の「虐待死」に変更した。「心中」という言葉には互いに合意の上で一緒に死ぬという含意があるが、親子心中では、子供は親の自殺に一方的に巻き込まれる。それが「虐待」であることを、名称変更によって明確にする狙いがある。

心中という言葉を排斥する必要はないが、親が子供を道連れにするのは虐待であるという認識を、社会全体で共有することが大切だ。

0歳児の死亡が半数以上、妊娠期からの支援が鍵

専門委の検証によると、保護者の自殺を伴わない「虐待死」は50人だった。主な動機として「こどもの存在の拒否・否定」などが挙げられている。0歳児が34人(68%)に上り、その半数の17人は生後24時間未満の「0日児」だった。

亡くなった0日児の母親の65%は未婚で、大半は妊娠届の提出や妊婦健診の受診をしていなかった。専門委は「予期せぬ妊娠に対する適切な相談窓口の周知が重要」としている。複雑な事情を抱える母親を孤立させない環境づくりなど、妊娠中から支える仕組みを整えたい。

保護者の自殺を伴う虐待死が増加、精神面の支援も必要

一方、保護者の自殺を伴う虐待死は27人に上り、5年度より10人も増えた。死亡した子供の年齢でみると、6歳以上が3割を占める。自殺を伴わない虐待死の7割近くが0歳児であるのとは様相が異なる。

動機は「こどもの病気・障害」「保護者自身の精神疾患、精神不安定」「育児不安や育児負担感」などだ。特に病気や障害がある子供のいる家庭には一層の公的支援が必要だろう。保護者に精神疾患があったり、貧困であったりする場合も育児への負担感が増大する。周囲が声を掛け、放置しないことも大切だ。育児困難な家庭には地域で目配りし、子供の虐待死を防ぎたい。