非常食も多様性尊重の時代に…アレルギー・ビーガン・ハラル対応商品が売上伸ばす
非常食も多様性尊重の時代…アレルギー・ビーガン・ハラル対応が好調

災害時の非常食で改良が進んでいる。食物アレルギーやビーガン(完全菜食主義者)、イスラム教の戒律に沿ったハラル認証に対応する商品が誕生し、売り上げを伸ばしている。背景には防災意識の高まりと、ニーズの多様化があるようだ。

アレルギー配慮のパン、熊本地震の被災地へ

今年夏、熊本地震で被災した熊本市に、アレルギーなどに配慮したパンが800食送られた。送り主は文京区の防災危機管理課長(51)で、「近年、避難生活の質の向上が重要になっており、アレルギーやビーガンの人が取り残されないようにする必要がある」と話す。

被災地に届けられたのは、5年間保存できる「Vエイドパン」。小麦とゴマは使用しているが、卵や牛乳など食物アレルギーを引き起こすとされる「特定原材料」などの使用をできるだけ避け、ごま油や砂糖で食感と味を調えた。食品添加物や動物性の原材料は使っていないため、思想や健康上の理由で動物性食品をとらない「ビーガン」の人でも食べられる。

売上3倍、商品種類も拡充

開発した「東京ファインフーズ」(千代田区)によると、昨年度までの「Vエイドパン」シリーズの販売数は年間計約5万食だったが、今年度は従来よりも小さいサイズを売り出すなど商品の種類を増やし、約15万食と3倍の出荷を見込んでいるという。

同社は東日本大震災後に本格的に非常用パンの開発に乗り出した。アレルギーのある人が避難所で困っていたという話を聞いた顧問の戸村一夫さん(78)が「誰もが食べられる商品を」と開発に着手し、2020年に誕生した。