パワハラ相談が急増、2024年度に7万件を突破
職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)の相談件数は年々増加を続けており、2024年度には7万2789件に達したことが明らかになった。これは、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が施行された2020年度の1万8363件から急激に上昇した数字である。
企業の対応は不十分、半数以上が「何もしなかった」
厚生労働省が2023年度に実施した調査によると、従業員30人以上の企業のうち、64.2%が「過去3年でパワハラ相談があった」と回答した。特に「金融業・保険業」が76.9%、「教育・学習支援業」が75.2%、「宿泊業・飲食サービス業」が74.5%と高い割合を示している。
しかし、パワハラの事案を認識していた企業のうち、53.2%は「特に何もしなかった」と回答。さらに、61.4%の企業が「パワハラがあったともなかったとも判断せず曖昧なままだった」と答えており、明確な対応を取らないケースが目立つ。
被害者の36.9%が通報せず、「解決にならない」と諦め
同じく厚労省の調査では、労働者の19.3%が「過去3年でパワハラを受けた」と回答した。そのうち36.9%は社内外への通報などを「しなかった」と明かしており、その理由の65.6%は「何をしても解決にならないと思ったから」だった。
パワハラの類型では、「精神的な攻撃」が48.5%と約半数を占め、次いで「過大な要求」が38.8%、「人間関係からの切り離し」が27.8%となっている。被害者が声を上げづらい環境が、問題の深刻化に拍車をかけている実態が浮かび上がる。
パワハラ防止法の定義と現実の乖離
パワハラは、労働施策総合推進法で①優越的な関係を背景とした職場での言動②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの③労働者の就業環境が害される、という三つのポイントから認定される。しかし、法律の整備が進む一方で、現場での適切な対応が追いついていない現状が課題として残されている。
専門家は「企業側がパワハラを認識しながらも対応を怠るケースが多く、被害者の不信感を増幅させている」と指摘。効果的な防止策の実施と、被害者支援の充実が急務であると訴えている。



