【独自】直前に一方的キャンセルされるスポットワーク、労働者が企業提訴 連合調査でも半数近くがトラブル経験
直前に一方的キャンセルのスポットワーク、労働者が企業提訴相次ぐ

短時間や単発で働く「スポットワーク」が普及する中、直前に就業を一方的にキャンセルされた労働者が仲介業者や雇用企業を提訴するケースが相次いでいる。連合が実施した調査では、スポットワーク経験者の半数近くが何らかのトラブルを経験したと回答。仲介業者の団体も利用企業向け指針を改訂し、キャンセルに関する注意喚起を強化している。

仲介大手タイミーを提訴

スポットワーカーの代理人として複数の訴訟を手がける牧野裕貴弁護士は、昨年秋以降に100人超の労働者から相談が寄せられていると明かす。4月には、飲食店や運送会社などのスポットワーク求人に応募した5都県の9人が、仲介アプリ大手「タイミー」に対し、未払い賃金など計約312万円の支払いを求めて東京地裁に提訴した。訴状では、9人がタイミーのアプリで応募してマッチングした求人135件について、雇用企業から就業直前に一方的にキャンセルされたと主張している。

牧野弁護士は、タイミーが利用規約に基づき雇用企業から賃金や手数料を得て労働者に立て替え払いしている点を踏まえ、「仲介役にとどまらず、プラットフォーマーとしての法的責任を問いたい」と強調。今月2日の第1回口頭弁論でタイミー側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。

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川崎市の大学生の男性(22)も、働く前日に飲食店から理由もなく一方的にキャンセルされたとして、昨年10月に店側へ賃金など約6800円の支払いを求めて東京簡裁に提訴。同簡裁は全額支払いを命じた。男性は「一方的なキャンセルはアンフェアだ。スポットワークは便利だが、安心できるサービスになってほしい」と話す。

トラブルの実態

スポットワークは、労働者が仲介業者のアプリを通じて単発の仕事を契約する仕組み。面接や履歴書不要の手軽さから2018年ごろから普及が進み、スポットワーク協会によると、1000万人を超える労働者が登録する仲介アプリもあるという。

連合が昨年公表したスポットワーカー1000人を対象とした調査では、トラブルに遭ったとする回答は46.8%に上った。内訳は「仕事内容が求人情報と異なる」が19.2%で最多、「業務の十分な指示や教育がなかった」が17.7%、「急に仕事が取り消しになった」が15.6%だった。

連合の菅村裕子総合政策推進局長は「就業まで手軽に進む分、雇用契約についての意識が薄れがちだ。労働内容や条件を事前にすり合わせる機会がないため、現場で戸惑うケースが増えている」と指摘する。

厚労省通知と協会指針

厚生労働省は昨年、スポットワーク協会に通知を出した。通知では、労働者が求人に応募した時点で労働契約が成立するとの考え方を示し、雇用企業側の都合でキャンセルする際には補償が必要になるなどと注意喚起している。

同協会も今年3月、利用企業向け指針を改訂。企業側からのキャンセルについて、他社が評価した労働者の働きぶりのみを理由とすることを認めないなどと明記した。後藤一重事務局長は「不当なキャンセルが行われないよう啓発に力を入れる」と語る。

脇田滋・龍谷大名誉教授(労働法)は「スポットワークでは仲介業者が労働者に報酬を立て替えて払う仕組みが取られていることが、雇用企業の責任を曖昧にしている」と指摘。その上で「労働者の保護に向けた議論を深めるべきだ。仲介業者に賃金未払いの共同責任を負わせる制度の検討も必要だろう」と話した。

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