最低賃金、過去二番目の引き上げ幅 着実な賃上げを続けるには中小企業の負担軽減と価格転嫁の環境整備が不可欠だ
最低賃金、過去二番目の引き上げ幅 着実な賃上げへ中小企業支援が鍵

2026年度の最低賃金は、全国平均で現在の1121円から1176円に引き上げられる。55円の引き上げ幅は過去2番目で、前年度の63円を下回った。伸びが縮むのはコロナ禍の2020年度以来、6年ぶりだ。

近年は大幅な引き上げが続き、中小企業側に経営の負担になるとの不満が強まっていた。今年はそうした声に配慮したとみられる。高市政権が目標とする全国平均1500円の達成時期も「遅くとも30年代前半のできる限り早期」に変更され、20年代という従来目標から実質的に先送りされた。

労使の隔たりは大きかった

中央最低賃金審議会では、労働者側が75円の引き上げを要求したのに対し、経営者側は中東情勢の影響などを理由に難色を示した。意見の隔たりは大きく、最終的に学識者が示した目安案で折り合いがついたという。

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それでも歴史的にみれば高い水準の引き上げだ。最低賃金は正規・非正規を問わずすべての労働者に適用される賃金のベースとなる。物価上昇が続く中、物価上昇率を上回る賃金の底上げは労働者の生活を守る上で欠かせない。

中小企業の負担軽減が課題

一方で、中小企業の負担への目配りも必要だ。人件費や原材料費の上昇分を販売価格に転嫁できた割合は5割程度にとどまる。大手企業と価格交渉すら十分にできない事業者も少なくない。雇い控えや休廃業が広がれば、地域経済に悪影響を及ぼす。

政府には、適正な価格転嫁を進める環境整備への注力が求められる。省力化投資やデジタル化への支援を強化し、中小企業の生産性向上につなげてもらいたい。

地域間格差の是正も不可欠

今後は地方の審議会が地域別の最低賃金を決める。昨年度は過去最大の引き上げで、例年なら10月となる適用開始を遅らせる地域が相次ぎ、秋田県など6県は越年した。適用が遅れた地域の労働者には大きな不利益だ。労使で納得できる水準を決め、安易な先送りは避けるべきだ。

現在、最も高い東京都は1226円、最も低い高知、宮崎、沖縄の3県は1023円で、200円以上の開きがある。地域間格差の是正も今後の重要な課題である。

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