若い世代の結婚や出産に対する意欲が減退している。国立社会保障・人口問題研究所が令和7年に実施した出生動向基本調査で分かった。結婚や出産を望む人が、その希望を実現できる日本にしたい。そのために重要なのは、若い世代の所得向上と雇用の安定を図り、経済的な不安を軽減していくことだ。仕事と育児が両立可能な環境整備も欠かせない。子育てが女性に集中する傾向は依然ある。男性の育児参加を進めたい。
未婚者の結婚意思、男女とも初の2割超え
調査は約5年に1度行っている。18~34歳の未婚者のうち「一生結婚するつもりはない」と答えたのは、男性24・0%、女性21・5%で、男女ともに初めて2割を超えた。10年前の平成27年調査では男性12・0%、女性8・0%だった。
ただし、結婚への意向が変わる可能性も残されている。「一生結婚するつもりはない」と答えた未婚者のうち、「いずれ結婚するつもり」に変わる可能性が「ある」または「あるかもしれない」と回答した男性は約4割、女性は5割弱に上った。変わる理由としては「結婚したい相手が現れる」「収入や貯蓄が増える」が多かった。
女性の経済力志向と出生数の減少
結婚相手に求める条件としては、女性に「経済力」を求める男性が55・6%と初めて5割を超えた。一方、出産について、未婚者が希望する子供の数は、男性は1・30人、女性は1・36人といずれも過去最少だった。夫婦が予定している子供の数は1・95人で、初めて2人を割った。
足元の明るい動きと今後の課題
足元では、わずかながら明るい動きもある。厚生労働省が公表した人口動態統計(概数)によると、令和8年1~5月に国内で生まれた日本人の子供の数は、前年同期比で214人増の26万3635人だった。出生数が前年同期を上回るのは、平成27年以来、11年ぶりだ。婚姻数が令和6、7年に2年連続増加したことが影響したとみられる。
ただ、流れが変わったとみるのは早計だろう。政府は児童手当の拡充など子育て支援を強化してきた。だが、日本は婚姻後の出産が多く、結婚に踏み出せる環境も整えなければ、少子化に歯止めをかけるのは難しい。これまでの政策が結婚や出産を望む人の願いをどの程度後押ししているのか、検証する必要がある。