偏差値35から東京大学に合格した異色の経歴を持つ西岡壱誠氏(一般財団法人ドラゴン桜財団代表理事)は、先天的な才能ではなく後天的なテクニックで学力を向上させられるとして、独自の勉強法を提唱している。漫画『ドラゴン桜2』編集担当も務める西岡氏が、連載第243回で語ったのは「子どものノート」について。東大生に共通する意外なノートの取り方とは、消しゴムをほとんど使わないことだ。
消しゴムを使わない東大生たち
西岡氏は東大キャンパスで、しばしば不思議な学生に出会うという。それは「消しゴムをほとんど使わない」東大生たちだ。彼らのノートを覗くと、計算ミスや書き間違い、見当違いの方針もすべてそのまま残っている。ぐちゃっとした横線で消されてはいるが、何を書いていたかは判読できる。中にはシャープペンシルではなくボールペンだけで勉強し、筆箱に消しゴムすら入れていない学生もいる。この習慣が、彼らを東大に導いた可能性があると西岡氏は指摘する。
「きれいなノート」が成績を妨げる理由
一般的に「ノートがきれいな子は勉強ができる」と思われがちだが、西岡氏は逆の現象を観察している。きれいなノートを作ることに意識が向きすぎると、授業の内容や思考のプロセスがおろそかになる。一方、東大生の「汚いノート」には、試行錯誤の跡が生々しく残っている。これにより、後で見返したときにどこで間違えたのか、どのような思考をたどったのかが一目でわかり、学習効率が高まるという。
ノート術の正体:思考の可視化
西岡氏によれば、東大生が無意識に実践しているノート術の本質は「思考のプロセスを可視化すること」にある。消しゴムで消してしまえば、その時の考えは失われる。しかし、間違いを残しておくことで、自分の思考パターンを客観的に分析でき、同じミスを繰り返さないようになる。また、ボールペンを使うことで「消せない」というプレッシャーから、書く前に考える習慣が身につくという利点もある。
実践方法:今日から始める「汚いノート」習慣
西岡氏は、すぐに実践できる方法として、まずシャープペンシルからボールペンに変えることを勧めている。そして、間違えても消さずに横線で消すこと。さらに、計算過程や考えたことをできるだけ書き残すこと。これにより、ノートは見た目は乱雑になるが、学習内容の定着度は格段に上がると言う。西岡氏の著書『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』(東洋経済新報社)は3万部を超えるベストセラーとなっており、このノート術を含む実践的なテクニックが多数紹介されている。
「頭がいい」は後天的に作れる
「頭がいい人の特徴は先天的に決まっている」という考え方に、西岡氏は異を唱える。自身が偏差値35から東大合格を果たした経験から、誰でも後天的に「頭をよくするテクニック」を身につけられると主張する。その第一歩が、ノートの取り方の見直しだ。きれいなノートにこだわるよりも、思考の跡が残る「汚いノート」を目指すことが、結果的に学力向上につながるという逆説的なアドバイスは、多くの親や教育関係者に衝撃を与えている。



