頭のいい子が選ぶ参考書は「情報が少ない」ほうが成績が伸びるワケ
頭のいい子が選ぶ参考書は情報が少ないほうが伸びる

勉強してもなかなか成績が伸びないと悩む子どもは少なくない。そんな中、頭のいい子どもたちは、一見すると「わかりにくい」参考書を選ぶ傾向があるという。一般財団法人ドラゴン桜財団代表理事で、ドラゴン桜2の編集担当を務める西岡壱誠氏は、その理由を「読みやすい参考書は、読み手が頭を使う量が少ないからだ」と指摘する。

「わかりにくさ」が知識を定着させる

西岡氏は、ある生徒Aくんとの出会いを通じてこの気づきを得た。Aくんは「参考書は、情報が少ないほうがいいんだよ」と語ったという。その言葉の真意は、現代の親切すぎる参考書が、かえって学習効果を阻害しているという逆説的な事実にあった。

例えば、昔の教科書や参考書は、今の感覚からすると不親切な点が多かった。専門用語の解説は省かれ、行間は広く、章と章のつながりも自明ではなかった。そのため読者は、読みながら常に自分で情報を補う必要があった。「これはどういう意味だろう?」「さっき出てきたあの言葉と、どうつながるんだろう?」「著者はなぜこの順番で説明したのだろう?」――こうした問いを自ら立て、答えを探すプロセスが、知識を自分のものにするための本質的な工程だったのだ。

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現代の参考書は「親切すぎる」落とし穴

一方、現代の参考書は恐ろしく親切だ。難しい概念には注釈がつき、カラー図解で視覚的に理解できる。章の冒頭には「この章で学ぶこと」が箇条書きで示され、重要ポイントは太字や赤字で強調される。さらに「つまり~」「なぜなら~」と論理関係まで丁寧に明示されている。わかりにくいポイントは編集段階で徹底的に排除され、読者は迷わずに読み進められる。

しかし西岡氏は、ここに大きな落とし穴があると警告する。「わかってしまう」ということは、脳が「わかろうと働いていない」ということでもあるからだ。読者が受動的に情報を受け取るだけでは、能動的な思考が働かず、記憶に定着しにくい。

「白紙に書き出す」勉強法が効果的

では、どうすれば能動的な学習ができるのか。西岡氏は「白紙に書き出す」勉強法を提案する。参考書を読んだ後、何も見ずに白紙に覚えた内容を書き出してみる。この作業によって、自分がどこを理解していて、どこが曖昧なのかが明確になる。わからない部分を再び参考書で確認することで、知識がより深く定着するという。

この方法は、情報が少ない参考書と相性が良い。なぜなら、情報が少ないほど、読者自身が補完する必要が生まれ、自然と能動的な学習になるからだ。一見コスパの悪い「わかりにくさ」こそが、実は効率的な学習の鍵を握っているのである。

西岡氏は、勉強しても伸びないと感じる子どもたちに、参考書選びの基準を見直すことを勧めている。親切でわかりやすい参考書に頼るのではなく、あえて「わかりにくい」参考書を選び、自分で考えながら読み進める習慣をつけることが、成績向上への近道かもしれない。

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