旅行先で観光名所やグルメを楽しむのも魅力的ですが、実は身近なスーパーマーケットこそが地域の歴史や生活を体感できる隠れた観光地であることをご存じですか?『スーパーって観光地やねん』を上梓した東京大学経済学部の下村英理氏が“子どもの頭がよくなる街の歩き方”を紹介します。
スーパーマーケットは地域の歴史を映す鏡
下村氏はこれまで日本縦断を3回実施し、全国のスーパーを訪れてきました。その経験から、スーパーは単なる買い物の場ではなく、地域の歴史や文化を実践的に学べる教材だと語ります。例えば、沖縄県の牛乳パックの容量は946mLと中途半端な数字ですが、これは戦後のアメリカ統治時代にアメリカの計量単位であるクォート(1クォート=946mL)が採用された名残です。このように、商品のパッケージから土地の歴史が見えてくるのです。
三重県で愛される「コシのないうどん」の理由
同様に、三重県では「コシのないうどん」が広く愛されています。一般的なうどんはコシが強いものが好まれますが、三重県では逆に柔らかくてコシのないうどんが主流です。その理由は、伊勢うどんに代表されるように、地元の食文化が影響しています。伊勢うどんは非常に柔らかく、だし醤油をかけて食べるスタイルで、古くから親しまれてきました。スーパーで販売されるうどんも、この地域の嗜好に合わせてコシを抑えた製法になっているのです。
スーパーで出会う現在進行形の歴史
下村氏は、スーパーで見られる商品の違いは「現在進行形の歴史」の表れだと指摘します。例えば、地域ごとに異なる調味料や加工食品、地元の農産物などは、その土地の気候や歴史、産業構造を反映しています。子どもと一緒にスーパーを訪れ、商品の背景を調べることで、地理や歴史の学習がより身近で楽しいものになるでしょう。
旅行先でのスーパー活用術
旅行先では、観光地だけでなく地元のスーパーに立ち寄ることをおすすめします。そこには、その地域の「今」の生活が詰まっています。特に、地元の牛乳や豆腐、練り物などの生鮮品は、その土地ならではの特徴が現れやすいです。また、パッケージの表示や商品名から、地域の歴史的なつながりを読み解くこともできます。
下村氏は「スーパーは地域の暮らしと歴史がわかる名観光地」と強調します。次回の旅行では、スーパーを単なる買い物スポットとしてではなく、歴史と文化を学ぶフィールドとして訪れてみてはいかがでしょうか。



