大阪府立天王寺高校は、大阪市阿倍野区に位置する伝統校であり、北野高校と並ぶ府立のリーダー校として知られる。略称は「天高(てんこう)」。同校は多くの文化人や学者を輩出してきた。
文芸界で活躍した卒業生:開高健と小田実
文芸分野では、小説家・ノンフィクション作家の開高健が特に名高い。開高は旧制大阪府立天王寺中学(現・天王寺高校の前身)から旧制大阪高校を経て大阪市立大学に進学。サントリーの前身である寿屋の宣伝部でPR誌「洋酒天国」の編集やウイスキーのキャッチコピーを手がけた。1958年には『裸の王様』で芥川賞を受賞。釣り師としても知られ、食と酒に関するエッセーを多数残している。代表作には『パニック』や『裸の王様』、ベトナム戦争取材に基づく『輝ける闇』などがある。
小説家の小田実(まこと)も旧制時代に在籍。『何でも見てやろう』で一躍有名になり、学制改革後は大阪府立夕陽丘高校を卒業し、東京大学言語学科に進んだ。ベトナム戦争に反対する「ベトナムに平和を!市民連合」(べ平連)を主宰し、政治活動家としても知られた。
芸能・美術・メディア分野の人材
芸能界では、俳優の市川雷蔵が卒業生として知られる。市川は大映の看板俳優として時代劇や現代劇で活躍し、『眠狂四郎』シリーズなどで人気を博した。美術分野では、洋画家の小磯良平がおり、神戸市に小磯記念美術館がある。メディアでは、NHKアナウンサーの杉尾宗紀や、朝日新聞記者の猪熊建夫(本記事の執筆者)らがいる。
「ワイルドな天王寺」の歴史と授業第一主義
天王寺高校は「ワイルドな天王寺」と呼ばれる自由闊達な校風で知られる。授業第一主義を掲げ、基礎学力の徹底に力を入れている。旧制中学時代から多くの逸材を輩出し、現在も進学校として高い評価を得ている。
科学・医学・先端研究を牽引する理系学者
理系分野では、遺伝医学者の中村祐輔が著名。中村は東京大学医科学研究所教授などを経て、シカゴ大学医学部教授を務め、がんゲノム研究で世界的な業績を上げた。他にも、宇宙物理学者の佐藤勝彦(東京大学名誉教授)や、免疫学者の岸本忠三(大阪大学名誉教授)などが卒業生に名を連ねる。岸本はインターロイキン6の発見で知られる。
人文・社会科学と地域・国際医療に貢献する知識人
人文・社会科学では、経済学者の宮本憲一(大阪市立大学名誉教授)や、歴史学者の網野善彦がいる。網野は日本中世史の研究で知られ、『日本の歴史をよみなおす』などの著書がある。医療分野では、地域医療に貢献した医師の瀬戸内寂聴(作家としても著名)や、国際医療協力に携わった医師の菅原努がいる。
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