深夜までゲーム、学校に行けない日々
Aさんという母親の11歳の息子は、ゲームに夢中になり夜遅くまでプレイ。就寝は深夜で、朝起きられず学校にも行けない日が続いた。トイレを忘れるほど没頭し、実際に間に合わなかったこともあった。
Aさんは毎日「もう寝なさい」「ゲームやめなさい」と叱り続けた。ゲーム機を取り上げ、Wi-Fiを切り、ルールを決めるなどあらゆる手段を試したが、親子のバトルは激化。隠れてゲームをし、嘘をつき、言い争いが絶えず、子どもが暴れて警察が来る事態にも発展した。
「親なんだから何とかしなければ」という信念
子育てコーチの潮田学氏(元小学校教員)によると、Aさんは「親が管理しないと子どもはダメになる」「子どもがゲームをやめられないのは自分の責任」「親は子どもを優先すべき」という強い信念を持っていた。背景には、Aさん自身が幼少期から親の顔色をうかがい、自分の気持ちを後回しにしてきた経験があった。叱られるたびに「自分が悪い」と責め続け、「自分を優先してはいけない」という価値観を無意識に身につけていた。
そのため、子どもがゲームをしている間も自分だけ先に寝ることができず、自分の時間も持てなかった。潮田氏は「『親なんだから何とかしなければ』という思いがAさんを駆り立てていた」と分析する。
「あなたのため」を手放した変化
潮田氏はAさんに、子育てにおける「信念・価値観」を見直すステップを提案。Aさんは自身の価値観に気づき、「あなたのため」という言葉が実は親のエゴであったと認識するようになった。すると、Aさんは「もう、子どものゲームに口出しするのをやめよう」と決断。自分自身の時間を優先し、夜は先に寝るようにした。
すると、驚くべき変化が起きた。子どもが自ら「21時には布団に入る」と言い出し、実際にその時間に就寝するようになった。ゲーム時間も自然と短くなり、学校にも行けるようになった。Aさんは「口出しをやめたことで、子どもが自分で考えて行動するようになった」と振り返る。
親のエゴを手放すことの重要性
潮田氏は『「あなたのため」をやめましょう 親のエゴを手放せば子どもは動き出す』(KADOKAWA)の中で、この事例を紹介。親が「子どものため」と思って行う行動が、実は親の不安や価値観に基づくコントロールである場合が多いと指摘する。親が自分自身の信念に向き合い、それを手放すことで、子どもは自己決定力を取り戻し、親子関係も劇的に改善するという。
同書は、子育てに悩む多くの親に新たな視点を提供している。



