入試当日の朝、校門付近で受験生を誘導していたのは、採用されたばかりの若手教師F先生だった。まじめでよく動くが、少し緊張しやすいタイプだ。
F先生は到着する受験生たちに「おはようございます!」と明るくはっきりした声で挨拶した。その声はよく通り、体育館でも聞こえるほどだった。入試責任者のE先生はその様子を見ていたが、特に問題は感じず、むしろ好印象だった。
数日後に寄せられた保護者の電話
試験自体は大きな混乱なく終了した。採点、判定会議、合格発表も滞りなく進んだ。ところが、数日後、E先生の元に1本の電話がかかってきた。
電話の主は保護者で、F先生の挨拶の声について苦情を訴えてきた。その内容は、F先生の声で子どもが萎縮したというものだった。E先生は一瞬、何の話か分からなかった。
意図せぬ結果
E先生は入試の公平性を保ちつつ、受験生を必要以上に追い詰めないようにと心がけてきた。F先生の挨拶もその延長線上にあるものだった。しかし、保護者には別の受け止め方をされた。
この一件でF先生は深く傷つき、以後、声の出し方に過剰に気を遣うようになったという。



