人工知能(AI)が急速に発展する時代だからこそ、偽情報などに振り回されない、判断力のある子供たちを育てたい。小中高校のカリキュラム編成の基準となる学習指導要領の改定案がまとまった。約10年に1度の見直しで、情報教育を大幅に拡充する方針などが盛り込まれた。
情報教育の大幅拡充
子供たちはスマートフォンなどのデジタル機器に囲まれて育つ。情報の信頼性を見極め、判断して行動する力を育むことは喫緊の課題であり、改定の狙いは理解できる。AI活用を含む情報教育は新しい分野であるだけに、教員の指導力も伴う改革としてほしい。
新指導要領は令和12年度から順次実施されるが、文部科学省は一部の先行実施も検討している。前倒しに向けて準備を急ぐべきである。
小中高校での具体的内容
改定案によると、小学校では3年生以上の総合学習の時間に「情報の領域」を学ぶ。中学は「情報・技術科」を新設する。情報を扱う際のルールやマナーに加え、AIの特性、ネット依存の弊害、偽情報などの危険性、情報発信の影響や責任などを学ぶとした。高校の授業内容も拡充する。
もちろん、情報の見極めには確かな知識が必要だ。国語、算数・数学などの基礎学力もおろそかにしてはならない。AIの急速な発展に対応できるよう、指導内容を適宜見直していくことも重要である。
教員支援と教育の中立性
文科省は、教員の力量や地域によってばらつきが出ないよう、効果的な指導法の確立や教材の開発、教員研修の充実に力を入れてもらいたい。
一方、新指導要領の総則に「児童・生徒の多面的・多角的な考察を妨げないよう留意する」と明記する方針も示された。現行の指導要領の社会科にも同様の記載があるが、全教科の共通事項とする方針である。これを評価したい。
教科書の記述を含め、学校ではいまだに日本をことさら悪く教えようとする現実がある。今年3月に沖縄県名護市辺野古沖で同志社国際高校の生徒らが死亡した船の転覆事故では、「抗議船」が使われた問題などが明らかになり、文科省が教育の中立性を定めた教育基本法違反と認定した。こうしたことを重い教訓とし、公正中立な教育活動を徹底したい。



