奈良県教育委員会が策定した「読解力向上NARAプラン」を活用した授業で、児童が考えを適切に表現する力が身に付いたとする成果がまとまった。教科書を丁寧に読むことが学習内容の理解や表現力の向上につながることが実証され、「学習内容がよくわかる」と答えた児童も増加した。
全国学力テストの課題から生まれたプラン
県教委によると、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)において、県内は全国平均と比べて正答率が低く、無解答者の割合も高い傾向があった。この課題を解決するため、教科に関係なく文章を読解し、効果的な学習の基盤となる「汎用的基礎読解力」の向上を目指し、2025年3月に「NARAプラン」を策定した。
プランでは、授業や家庭で大切にしたいこととして、教科書を声に出して読むことや、本や新聞の読み聞かせなどの読書活動の推進を挙げている。授業でのポイントとして、主語と述語を明確にさせる、代名詞の内容を確認しながら読ませる、図や表・グラフを活用して文章にまとめさせる、原因や根拠に基づいて思考させる――などを示した。
実証授業で見えた変化
効果を検証するため、県内の公立小学校教諭が2025年5~12月、担任する5年生34人を対象に、NARAプランのポイントを押さえた授業を実施。1学期は教科書の注意点に注意を払えなかったり、その場の思いつきや経験のみに基づく意見を言ったりする児童もいた。
そこで2学期は「教科書のどの部分からわかるか」など、教科書を丁寧に読ませることを意識した授業を展開。資料に基づく理解が進み、教科書の表現を用いて説明したり書いたりする姿が見られるようになった。
アンケート結果が示す向上
アンケートでは、国語の授業で自分の考えが伝わるように工夫して文章を書いていると答えた児童が1学期は46.4%だったが、2学期には78.1%に上昇。算数、理科でも授業内容がよくわかるとした児童が大幅に増え、算数は93.8%、理科は100%に達した。
11月に実施した読解トライアルでは、国語で6割の児童が資料で述べられていることや書くべき内容を読んで理解し、解答できた。趣旨に合わない内容を書いた児童や無解答者はいなかった。担当教諭は「児童の文章を読むことへの抵抗感も薄れたように感じる」と振り返った。
家庭での音読も重要
担当した県立教育研究所の小岩智子・研究推進係長は「先生の少しの意識がけで子どもたちが変わる。学校現場ではもちろん、家庭でも音読などを大切にしてもらいたい」と話す。
成果は23日に同研究所で開く教育セミナーで発表される。金沢工業大の平真由子准教授による特別講演もあり、無料。16日までに同研究所のホームページから申し込む。問い合わせは同研究所研究推進係(0744-33-8903)。



