関西学院中学部、奉仕のための才能磨くクラブ活動を紹介
関西学院中学部、奉仕のための才能磨くクラブ活動

兵庫県西宮市にある関西学院中学部は、キリスト教を教育の柱とし、生徒が神から与えられた才能を磨く場としてクラブ活動を奨励している。その目的は、スクールモットー「Mastery for Service(奉仕のための練達)」にある。学校生活の随所にこの精神が浸透しているが、特に顕著に体現しているとされるクラブ活動として、理科部とタッチフットボール部が挙げられる。

理科部:社会の役に立つために好きなことを究める

アメリカの宣教師W.R.ランバス博士によって創設された同校は、キリスト教の精神を教育の柱に据えている。入試・広報部主任の大藤泰生教諭は、「本校では、神様から与えられたタラントン(才能)を無駄にせず、失敗を恐れず挑戦することを大切にしています」と説明する。

このタラントンを磨くため、参加が奨励されている活動の一つがクラブ活動だ。中学部には「宗教総部」「文化総部」「運動総部」の3種類計19のクラブがあり、クラブ活動加入率は約94%に達する。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

大藤教諭が顧問を務める理科部は、1959年に創設され、現在は53人が所属している。活動日は月・火・金・土曜日で、部員たちは放課後に理科実験室や技術室へ集まり、ロボット製作やプログラミング、科学実験、料理やお菓子作りなど、各自が興味を持ったテーマに取り組んでいる。

同部は、2023年度と2024年度に2年連続で「創造アイデアロボットコンテスト全国中学生大会」に出場するなど、近年活躍が目立つ。また、2026年4月の「Kyoto Micro Maker Faire 2026」では、企業や大学、高校に交じって唯一中学の部活単位で参加し、大手企業からも高い評価を受けた。

大藤教諭は、「理科部では、社会の役に立つため、生徒自身が自由に選んだ好きなことを磨いていくことを目指しています。ロボットコンテストもそうですが、単に勝つことより、面白いアイデアを披露し合い、互いを高め合うことを大切にしています」と話す。

外部のコンテストへの挑戦と並んで、活動の大きな柱の一つになっているのが科学イベントへの出展だ。兵庫県内の神戸市や加古川市などで開催される「青少年のための科学の祭典」では例年、部員たちが小学生向けに実験ブースを運営してきた。

同部マネジャーの南優希乃さん(中3)は今年、実験ブースで小学生たちのために自作の歯車装置を使ってギア比や回転力の仕組みを解説した。その際、専門知識を持つ大人からの鋭い質問にも応じられるよう、徹底的な事前学習を行ったという。「最初はうまく説明できませんでしたが、やり取りを繰り返すうちに、自分の言葉でスッと説明できるようになりました」と振り返る。

タッチフットボール部:再びの日本一に向けて高め合う

タッチフットボールは、アメリカンフットボールを安全に簡略化した球技で、タックルの代わりに両手で「タッチ」することでプレーを止める。タッチフットボール部は1948年に創設され、現在所属している部員は57人。水曜日以外は活動しており、関西学院大学と同じ敷地内にあるグラウンドで100を超えるサインプレーを練習したり、対外試合に臨んだりしている。

同部も近年、活躍が目覚ましい。春季は「関西中学アメリカンフットボール選手権」で2022年度に優勝。秋季は2021、2022年度と「日本中学生アメリカンフットボール選手権」で優勝している。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ

ただ、2023年度以降は、春季の最高成績が準優勝、秋季は2回戦敗退と、今一つ波に乗れていなかった。その悔しさから今年度の大会に向けて3年生全員で話し合い、「春・秋大会日本一」という目標を定めた。主将の満村勇政君(中3)は、「ずば抜けた選手がいないなか、どうすれば勝ち続けられるかをみんなで考えた結果、『諦めず、全員で戦い抜くこと』が大切だという結論に至りました」と話す。

そこで今年度は「Stay hungry(貪欲であり続ける)」をチームスローガンに掲げた。満村君は、「常に向上心を持ち、自分にも相手にも負けない気持ちでプレーし、互いを高め合いながら勝利に近づこうという強い意志を込めています」と説明する。

ただ今春、満村君は練習中に左の鎖骨を骨折し、春季の全試合を欠場することになった。主将としてピッチに立てないもどかしさを抱えながらも、「自分にできることをやるしかない」と、練習中の声掛けや仲間のプレーへの指摘に徹した。

皆で結束して練習に励んだ結果、今年度も春季は決勝まで駒を進めることができた。「仲間を信じ続ければ結果につながることを学びました」と満村君は話す。大会結果はどうあれ、顧問の山根侑起教諭は「自分の思っていることは正面からまっすぐ伝えることができている」と、満村君のリーダーとしての成長を喜んだ。

スクールモットーが浸透するクラブ活動

生徒のタラントンを磨くために、両クラブに共通しているのは、生徒の主体性を尊重し、あえて「教えすぎない」という顧問のスタンスだという。大藤教諭は「失敗することを前提に、なるべく挑戦させてあげたい」と話し、山根教諭も自らを「ペースメーカー」と位置付け、見守ることに徹している。

また、日々タラントンを磨くほかに、両クラブにはもう一つ重要な共通点がある。「クラブ活動には、スクールモットー『Mastery for Service』を実践し、人のために尽くすことを学ぶという目的もあります。両クラブは、スクールモットーが体現できている顕著な例です」と大藤教諭は語る。

大藤教諭は、「南さんは、小学生に科学の楽しさを伝えたいという思いから、自ら昼食時間を削って、開催時間中ずっと実験ブースに立ち続けていました。こうした姿が『Mastery for Service』の実践なのです」と言う。

タッチフットボール部もスクールモットーを強く意識して活動している。山根教諭は、「スクールモットーの『Mastery for Service』と、中学部の理念である『感謝・祈り・練達』をベースに、競技を通じて『誰からも愛される集団』になることを目指しています」と話す。

スクールモットーに基づく「他者のために自分を磨く」という考えは、プレー以外の日常生活にも及ぶ。「防具を整頓したり、あいさつを徹底したり、そして勉強に励んだり、これらを達成できて、ようやくスタートラインに立てると思います」と満村君は強調していた。

南さんは「理科部は、自分から何かを見つけようとしないと何も始まらない環境なので、自発的に行動する力を伸ばすことができました。部活動で培った挑戦する力を生かして、高等部では海外研修にチャレンジしたい」と夢を膨らませる。満村君も、「高等部でもフットボールを続け、勝てるチームを作りたい」と意欲的だ。

他者の役に立つために、仲間と共にタラントンを磨き合うクラブ活動は、生徒たちの将来を開く鍵となるに違いない。