経済協力開発機構(OECD)が昨年、91か国・地域の15歳、計約76万人を対象に実施した国際学習到達度調査(PISA)の結果が公表された。日本では183校の高校1年生約6500人が参加した。
日本の平均点は、前回3位だった「読解力」が4位、2位だった「科学的応用力」と5位だった「数学的応用力」がそれぞれ5位となった。OECD加盟38か国に限れば、初めて3分野すべてで1位となった。
世界トップレベルを維持も課題
文部科学省は、日本の子供たちの学力は「世界トップレベルを維持している」と分析している。現場の教員らによる粘り強い指導が実を結んでいるといえる。
一方で、OECD加盟国全体の読解力や数学的応用力の平均点が顕著に低下している。背景には、SNSの普及による学習時間の低下など、複合的な要因があるとみられる。
その中で、日本の学力は一定レベルに踏みとどまっているという見方もできるが、今回の調査では日本でも読解力の低下傾向が見られた。
読解力低下と低得点層の増加
「六羽の鳥が森の上を飛んでいった」「飛行機は犬でできている」といった短文を読み、意味が通っているかを「はい」「いいえ」で答える設問では、正答率が大きく低下していた。
文科省は、子供たちがSNSで流れてくる短文をあまり注意せずに見ている影響や、読書時間の減少などが背景にあるとみている。
また、基礎的な習熟度に達しない「レベル1以下」の子供の割合が、3分野すべてで高くなっていた。高得点層の割合には変化が見られなかった一方で、低得点層が増加している。
PISA調査では、保護者の学歴や家庭の経済的な豊かさの水準が低い子供ほど、習熟度レベルが低い傾向がみられる。日本でも家庭の経済格差が広がり、それが学力格差につながっているとすれば深刻な問題だ。
AI時代に求められる力
AI(人工知能)が子供たちの学習にも入り込んでいる時代だ。だからこそ、AIに過度に依存せず、自ら考え、答えを発見する力を身につけることが重要だ。
日本の子供たちの学力は国際的にみて高いとはいえ、いくつかの課題もある。慢心せずに改善に取り組み、一層の学力向上を図ることが求められる。



