小学校向け『ガンプラアカデミア』累計参加児童100万人突破、教育現場での反響と今後の展望
『ガンプラアカデミア』累計参加児童100万人突破、教育現場の反響は

BANDAI SPIRITSが全国の小学校向けに無償提供するプラモデル授業プログラム『ガンプラアカデミア』の累計参加児童数が、2021年の開始から5年で100万人を突破した。2026年9月4日時点で、1万5375校・104万169人の児童が参加している。

工場見学をきっかけに生まれた無料授業プログラム

『ガンプラアカデミア』は、児童が自分の手でガンプラを組み立てる体験と、プラモデルの製造工程やリサイクルを解説した動画を通して、ものづくりの仕事の面白さや奥深さ、企業のサステナブルへの取り組みを学べる無料の授業パッケージ。小学5年生を推奨としており、「日本のものづくり」「キャリア教育」「SDGs」の3つのテーマを学ぶことができる。文部科学省が定める「総合的な学習(探究)の時間」としても機能していると、現場の教員から好評だ。

立ち上げのきっかけについて、同社の中桐美由貴さんは「2019年に、社内の企画提案制度である『開拓者魂』で『オンデマンド授業×プラモデル』を提案したことが始まり」と語る。2006年にバンダイホビーセンターが静岡市に移転して以降、多くの学校から工場見学を受け入れてきたが、遠方の学校は現地まで来ることが難しく、子どもたちから「見学には行けないけれど質問したい」とお手紙をいただくことも多かったという。

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教育現場の課題解決にも貢献

導入初期について中桐さんは「思いのほかスムーズに受け入れられました」と振り返る。2019年頃から学校現場では「GIGAスクール構想」による1人1台端末の整備などICT環境の構築が進んでおり、2020年のコロナ禍で校外学習や工場見学が中断されたことで、オンラインでの配信授業が一気に普及したという。

学習指導要領で「主体的・対話的で深い学び」が求められる一方、学校現場では「生徒間の意欲格差」や「人間関係の摩擦」などの課題がある。中桐さんは「プラモデルが得意な児童が苦手な児童をサポートしたり、手先の器用な児童が組み立ての早さで活躍したりと、多様な子どもたちが一緒に輝ける時間になっています」と話す。

教材の開発にあたっては、株式会社NHKエデュケーショナルやNPO法人企業教育研究会と連携し、指導案を作成。熱心に取り組んでいる学校に模擬授業をしてもらい、現場の反応を見ながら内容をブラッシュアップしていったという。ガンプラアカデミア専用の「組み立て体験用キット」は、初めてプラモデルを作る子どもでも挫折しないよう、パーツの配置や組み立て方を分かりやすくし、理解してくると難易度を少しずつ上げて達成感を得られるように工夫されている。

教員の負担軽減と家庭でのコミュニケーション促進

教員の準備負担を最小限に抑えるため、教室内のモニターと届いた教材さえあればすぐに実施できるパッケージにしており、授業時間に合わせて選べる「1コマ用」「2コマ用」の指導案や、印刷してそのまま使えるワークシートを配信している。

授業を受けた子どもたちからは「BANDAI SPIRITSで働いてみたい」という声や熱いお手紙が寄せられているほか、先生方からは「普段はおとなしい児童がプラモデル作りで才能を発揮して『クラスのヒーロー』になった」というエピソードも聞かれるという。また、組み立てたプラモデルを持ち帰ることで、ガンプラブーム世代の親御さんとの会話が弾み、家庭内でのコミュニケーションが生まれたという話も多い。離島や山間部など工場がない地域の学校からは「実際に工場見学に行けなくても、リアルなものづくりの熱量と現物が手元に届く体験ができて、深く納得できた」との声が届いている。

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環境学習の要素としては、プラモデルのランナーをリサイクルした素材を使った「エコプラ」版キットのほか、成形機を積んだトラックが学校へ行く「マイプラスチックステーション」も展開。授業で出たランナーをその場で粉砕・再成形し、定規に生まれ変わらせる体験を通じてリサイクルを自分事として捉えてもらう取り組みだ。さらに、静岡市と連携し、地元の海で回収した海洋プラスチックを混ぜ込んだプラモデルを開発する「CLEAN OCEAN ACADEMIA(クリーンオーシャンアカデミア)」もスタートしている。

今後の展望と目指すゴール

今後の展望について、中桐さんは「台湾の小学校での実施など海外への展開が始まっているほか、国内では大阪府教育庁と連携し、全公立小学校へ一括導入した実績もあります」と説明。今後は中高生向けにもキャリア教育の側面を強化したプログラムを拡充していきたいとし、水族館とコラボレーションした海の環境学習など、アプローチも多角化している。

プロジェクトが目指す最終的なゴールについては「引き続き全国の小学校様での導入を目指すと共に、『着実に長く続けること』に一番の意義があると考えています。毎年新しく小学5年生になる子どもたちに、プラモデルの面白さやものづくりの奥深さを届けていくことが大切です」と語る。最近は、バンダイホビーセンターのミュージアムに来た中学生が「小学校の時にガンプラの授業を受けました」と教えてくれたそうで、「いつかBANDAI SPIRITSの採用面接の場で『小学生の時に、ガンプラアカデミアの授業を受けました』と言ってくれる方が現れる日を夢見ながら、これからも変わらぬ決意で、この活動を長く届けていきたいです」と話している。