前代未聞の34泊35日、約80万円の夏期合宿
進学塾「ena」が2026年夏、業界を驚かせる長期合宿を実施する。7月21日から始まる「小6・中3夏期必勝合宿」は34泊35日、1日の勉強時間は13時間に及ぶ。参加費は1人当たり約80万円で、スマートフォンやゲームから隔離され、食事・入浴・就寝時間以外の全てを受験勉強に充てる。海の日の3連休明けから、参加者は夏休みのほぼ全てを勉強に捧げることになる。
この合宿について、保護者の間では賛否が分かれている。「共働きだから、学童も兼ねていると考えれば結構助かる」「こんなにやって志望校に合格できなかったら、コスパは悪い」「子供の体力やメンタルは大丈夫なのか」といった声が聞かれる。
enaの実績と合宿長期化の背景
「中高受験ena」は東京都を中心に約180教室を展開し、都立中学の合格者数で15年連続ナンバーワン(運営会社の学究社調べ)を誇る。大きな青い看板は東京の街角で頻繁に目につき、都内の受験家庭に広く知られた学習塾だ。
しかし、近年は合宿を急激に長期化させている。3年前と比較して合宿日数は30日も増加しており、その背景には都立中受験を取り巻く環境の変化がある。
都立離れの加速が業績を直撃
enaの焦りは、都立中離れの加速にある。東京都の教育政策の変化や私立中学の人気回復により、都立中受験者数が減少傾向にある。この流れがenaの業績を直撃しており、同社は合宿の長期化や大規模化で収益を確保しようとしているとみられる。
合宿の収容人数は約2000人に上り、過去最大規模だ。長期合宿による高額な参加費は、一時的な資金調達としても機能する。しかし、競合他社との差別化や、都立中離れに歯止めをかけるための戦略とも言える。
社員待遇の課題も浮き彫りに
一方で、enaの社員待遇は同業他社に見劣りするとの指摘もある。長時間の合宿指導を支える講師陣の負担は大きく、人材流出のリスクもはらむ。合宿の成功には、講師のモチベーション維持が不可欠だが、その点で課題を抱えている。
都立中受験の王者として知られるenaだが、今回の前代未聞の合宿には、環境変化への焦りと、生き残りをかけた攻勢が透けて見える。



