「本を読んでいるのに読解力が伸びない子」にはある共通点がある。元渋谷教育学園渋谷中学高等学校国語科専任教諭で、市野瀬教育研究所所長の市野瀬早織氏が指摘する。
市野瀬氏は、偏差値70以上の進学校で指導し、教え子の5人に1人を東京大学合格へ導いた経験を持つ。その初の著書『東大合格者が身につけた 一生使える「読み方スキル」』は発売後すぐに4刷を突破し、話題を呼んでいる。
本を読む子なのに国語が伸びない理由
「うちの子、本はよく読んでいるんです」と話す保護者は多い。家に本があり、子どもが読書を嫌いではなく、休みの日には自ら本を手に取ることもある。それなのに国語の成績が伸びず、筆者の意図を取り違えたり、記述問題で何を書けばよいかわからなくなったりするケースがある。
読書量は語彙を増やし、様々な考え方や表現に触れ、長い文章に慣れる点で大きな価値がある。ただし、「本を読んでいること」と「読解力が育っていること」は必ずしも同じではない。
読書をしていても、ただ物語を追っているだけの場合がある。面白かった場面は覚えていても、なぜその場面が大事か説明できない。登場人物の行動は覚えていても、その人の考えを言葉にできない。説明文を読んでも「なんとなくわかった」で終わってしまう。こうした読み方では、読書量が増えても深い理解にはつながらない。
読んだあとに何も聞かれない子は考える機会を逃す
大切なのは、読んだ後にその内容を自分の言葉で考え直すことだ。その機会を家庭で作れているかどうかが、読解力が伸びる子と伸びにくい子の差を生む。
市野瀬氏は「読解力は読後の3分で育つ」と述べている。親が子どもに「どう思った?」「なぜそう思うの?」と問いかけることで、子どもは内容を整理し、考えを言語化する練習ができる。この作業を習慣化できるかどうかが鍵となる。



