かつては元気な子どもの象徴とされた日焼けだが、最近は健康意識の高まりから、子どもたちの間にも紫外線対策が急速に広がっている。紫外線量は増加傾向にあり、学校では日焼け止めクリームの使用やサングラスの着用を促す動きが進んでいる。
資生堂が出前授業、小学校からの依頼増加
東京都品川区の区立浜川小学校では6月30日、紫外線対策を学ぶ授業が行われた。化粧品大手「資生堂ジャパン」(東京)の社員が講師を務め、5年生約160人に日焼け止めの塗り方などをレクチャーした。同社は2018年から出前授業を開始。当初は中学校・高校が中心だったが、近年は小学校からの依頼も増え、昨年は小中合わせて162校で実施したという。
授業に参加した男子児童(10)は「男の人でも対策が必要なんだと勉強になった」と話し、真剣な表情で腕に日焼け止めを塗っていた。子どもの肌は大人に比べて表皮が薄く、外部刺激に弱い。紫外線を浴びすぎるとシミやシワの原因となるほか、将来の皮膚がんリスクも高まる。
ラッシュガード着用率が急増、3年前の1.5倍
水着の上から着る「ラッシュガード」は、屋外プールでの日焼け対策に有効だ。東京都豊島区の区立西池袋中学校では昨夏から、生徒の要望を受けて希望者の着用を認めた。八尋崇校長(54)は「日焼けがいやでプールの授業を見学する生徒が減った。授業に集中できる生徒が増えている」と効果を実感している。
水着メーカー「フットマーク」(東京)が5月に実施したインターネット調査(小学校高学年・中学生とその保護者1200組対象)によると、「ラッシュガードを着用している」と回答した割合は56.5%で、3年前の約1.5倍に増加した。着用理由としては「紫外線対策」「肌を露出したくない」「体形が気になる」が上位を占めた。
サングラス着用も学校で認められる動き
紫外線は目からも吸収され、白内障などの原因となる。眼鏡チェーン「Zoff(ゾフ)」の運営会社は昨年から、サングラスの着用を促す出前授業を開始。これまでに中高合わせて30校で実施し、部活動や体育の授業などでの着用が認められるケースが出てきている。
UVインデックス8以上の日が増加傾向
気象庁は1990年から紫外線の影響度を示す指標「UVインデックス」を公表している。日中の外出を控えるよう推奨される「8」以上の日数は増加傾向にあり、昨年は計70日に達した。この背景には、オゾン層の破壊に加え、近年は紫外線を拡散させる大気中の浮遊微粒子が減少したことなどが影響していると考えられている。
早稲田大学スポーツ科学学術院の細川由梨准教授(環境運動生理学)は「屋外活動を一律にやめてしまうのではなく、紫外線対策も取った上で、続ける方法を探ってほしい。学校に加えて保護者も紫外線の危険性への意識を高めるべきだ」と指摘する。
専門家が指針、2度塗りや日陰づくりを推奨
日本臨床皮膚科医会と日本小児皮膚科学会は、学校生活における紫外線対策の指針を発表している。紫外線は午前10時から午後2時頃が最も強くなるため、屋外活動ではその時間を避けるよう推奨。パラソルやよしずなどを使って日陰を増やす工夫が必要としている。日焼け止めについては積極的に使用し、塗りむらがないように2度塗りを勧めている。水泳授業ではラッシュガードの着用による肌露出の回避を提案している。
皮膚科医の小林里実さん(61)は「適度に日光を浴びることには近視予防などの効果があることが知られているが、近年は紫外線が強すぎる。活動の時間や時期、場所、衣服などの工夫で対策をとってほしい」と呼びかけている。



