近年、小学校から高校に至るまで、集団の中に身を置くことに強い不安を感じる子どもたちが増加している。ノンフィクション作家の石井光太氏は、新刊『「ことばで伝える」ができない子どもたち』(日本実業出版社)で、その背景に言語能力の不足があると指摘する。
人づきあいを怖がる子どもたちの実態
「他人が怖い」「どう接していいかわからない」といった理由で教室に入ることを恐れたり、人との関わりを避けたりする子どもが急増。石井氏は、この現象がいじめや家庭環境に起因するものではなく、子どもたちの「ことばの力」の不足が根本原因だと述べている。
人間は本来、集団を形成して生きる存在であり、社会の中で他者と協力する能力は不可欠だ。学校では、クラスや部活動などのグループ活動を通じて、子どもたちは言語能力を磨き、人間関係を構築する訓練を行う。しかし、年齢相応の言語能力を持たない子どもは、信頼関係を築けず、グループ内で孤立しやすくなる。
具体的な事例と影響
石井氏の取材では、「あの子は自分と絶対合うわけない」と決めつける子どもや、遊びの約束を「先生、代わりに言って」と代弁を求めるケースが報告されている。また、「ダル」「ヤバ」などの短い言葉で会話を済ませる傾向が強まり、複雑な感情や状況を伝えられない子どもが増えている。
こうした言語能力の不足は、中学での不登校や高校での恋愛トラブルに発展するケースも多い。石井氏は「ことばで伝える力」が不足すると、人間関係の構築が難しくなり、結果的に教室に行けなくなる子どもが急増していると警鐘を鳴らす。
社会全体で取り組むべき課題
石井氏は、この問題は教育現場だけでなく、家庭や社会全体で取り組むべき課題だと強調する。子どもたちが自然な形で言語能力を育む環境を整えることが、不登校や対人トラブルの予防につながるとしている。



