青森県内の公立小中学校で、水泳の実技授業が行われなくなっている。読売新聞が県内40市町村教育委員会を対象に実施した調査によると、中学校では33市町村でプールの授業がなく、小学校でも6市町村は全校で実施していなかった。学習指導要領では中学2年までは「原則実施」とされているが、識者は「望ましい状態とは言えない」と指摘する。
自校実施は少数、外部活用が主流
弘前市立福村小学校では7日、1年生の水泳の授業が行われた。この日の最高気温は約30度。約40人の児童が4人の教職員に見守られながら、バタ足や水中ジャンプに汗を流した。同小の山口祝一校長は「座学だけでなく実際に泳いでこそ、水の楽しさと怖さの両方を学ぶことができる」と強調する。
しかし、プール授業は減少傾向にある。昨年度、水泳の実技授業を行った中学校は、八戸、十和田、外ヶ浜、三戸、五戸、階上の6市町で計9校のみ。今年度から1校で実施予定の佐井村を含めても10校にとどまった。原因は校内プールの老朽化とみられる。
小学校では多くの学校が実施しているものの、むつ、外ヶ浜、大間、鶴田、東通、蓬田の6市町村は域内の全校で実技授業がない。十和田、八戸など5市町村にも未実施校があり、未実施は全県で31校だった。授業があっても自校プールを利用する小学校は62校に対し、市営プールや民間スイミングクラブなど「外部実施」が144校に上った。
むつ市では全小中学校で未実施
学校教育における水泳授業は、1950年代の水難事故で小中学生が犠牲になった反省から普及した。現在の学習指導要領では、小学生と中学1、2年生は水泳が必修で、実技を扱わなくてよいのは「適切な水泳場の確保が困難な場合」のみだ。
むつ市では昨年度、小学校11校、中学校9校すべてで実技授業がなかった。市教委学校教育課は「老朽化が進み、自校で使えるプールがある学校は1校もない。市内には活用しやすい市営プールもなく、外部での実施も難しい」と説明する。
青森市は全小学校で実施
一方、青森市の小学校は自校実施が5校にとどまるものの、36校が民間など外部プールで授業を実施し、未実施校は1校もない。市教委指導課は「遠方のプールへのバス手配や民間プール利用料を負担している」と回答。五所川原市も全10小学校が外部プールを利用している。
弘前大の上野秀人教授(教科教育学)は「学校での水泳学習には命を守る安全教育などの価値があり、県外との機会格差が生じるのは望ましくない。外部プールの活用など工夫しながら取り組みを進めてほしい」と指摘した。



