「お口ぽかん」の子どもが増えている。口を開けたままにする習慣は、歯並びや顔つきに影響を与えるだけでなく、学習面や高齢期の健康にも悪影響を及ぼすことが分かっている。
MFTによるトレーニング方法
口腔機能発達不全症の改善には、MFT(口腔筋機能療法)が有効だ。まず舌の正しいポジションを身につける。舌の先は上の前歯から5ミリメートルほど後ろにある「スポット」と呼ばれる位置に置き、舌全体を上あごにぴったりつける。そして唇を閉じ、その状態を長く保つ練習をする。ほかにもガムを上あごにつける練習や舌を上げる練習、唇を鍛える道具を使った訓練などがあり、子どもの年齢や状態に応じて内容は異なる。
「MFTは、大人の指示を理解できるようになる4歳頃から始められるケースが多く、まずは半年程度を1つの目安とし、状況に応じて1年程度継続して見ていくこともあります。家庭でも1日5~10分程度のトレーニングに毎日取り組み、長期間継続することが推奨されます」
家庭でできる「あいうべ体操」
家庭で取り組みやすい方法として「あいうべ体操」が知られる。唇を「あ」「い」「う」の順に動かし、最後に舌を「べ」と前に突き出す動きを1セットとする。齊藤氏らの研究では、3~4歳の幼稚園児123人に毎朝36セットの「あいうべ体操」を1年間続けてもらったところ、体操を行わなかった園児に比べ唇の閉鎖力が強くなり、上下の唇の形も引き締まることが分かった。
相談先と治療の保険適用
子どもの「お口ぽかん」が気になる場合、齊藤氏は日本小児歯科学会認定の「小児歯科専門医」への相談を勧める。受診先を選ぶ際は、専門医の有無や口腔機能の支援を実施しているかを医院のホームページなどで確認したい。歯並びが原因の場合は歯科矯正、アレルギー性鼻炎や扁桃肥大が疑われる場合は耳鼻咽喉科での相談が必要になることもある。
「小児期に口腔機能が十分に育たないと、高齢期になって嚥下機能の問題などが生じやすくなります。国も高齢期を踏まえて小児期の発達支援を強化しています」と齊藤氏。「口腔機能発達不全症」の治療が保険適用となり改善に取り組みやすくなったため、気になるサインがあれば放置せず早めに対応することが大切だ。口元の状態に日頃から目を向けることが、子どもの生涯にわたる健康を守る第一歩となる。



