東京都が2025年9月に3歳未満児の保育料を完全無償化したことで、認可保育園の入園希望者が急増している。自治体や園長からは「また待機児童が増える」「10年前に戻った感じだ」という声が漏れ始めており、2027年春に向けた保活はここ数年で最も厳しくなる可能性が指摘されている。
「10年前に戻った」現場から漏れる悲鳴
保育園を考える親の会の臨時アンケートや関係者の情報によると、東京都内の大半の自治体で、今年4月の認可保育園等への入園申請数が増加したことが明らかになった。都内のある自治体関係者は「また待機児童数が増加する」と頭を抱え、保育園園長からも「(待機児童数が多かった)10年前に戻った感じがする」という声が聞かれている。
10年前の2016年は、匿名ブログの「保育園落ちた日本死ね」という投稿が国会で取り上げられた年だ。その年の待機児童数は全国で2万3553人、翌年には2万6081人と現行のカウント方法でのピークを記録している。
無償化が招いた入園希望者の急増
東京都は2025年9月に3歳未満児の第1子の無償化を実施し、これまでの保育料の無償化策と合わせて全年齢完全無償化を実現した。この政策が入園希望者の増加につながったとみられる。保育料の負担軽減は、これまでも保育園の利用希望を増加させてきたが、今回の完全無償化により、月6万~7万円の負担がなくなるインパクトは大きく、働く親の間で認可保育園への申し込みが殺到している。
「待機児童ゼロ」のからくりと東京の課題
東京都はこれまで「待機児童ゼロ」を掲げてきたが、その実態は認可外保育施設や一時預かりなどを含めた「利用可能な施設」を確保することで数字上ゼロにしている面がある。今回の無償化により、より安価で質の高い認可保育園への需要が高まり、待機児童が顕在化する可能性が高い。また、東京一極集中が進む中で、保育園の整備が追いつかず、地域間格差も拡大している。
2027年春の保活は過去最難関か
専門家は「2027年春の保活は、ここ数年で最も厳しくなる」と警告する。無償化の効果が本格化する来年度以降、申し込み数がさらに増えると予想されるからだ。保護者は早めの情報収集と、認可外保育園やベビーシッターなど複数の選択肢を検討する必要がある。
「保育園を考える親の会」アドバイザーの普光院亜紀氏は「無償化は歓迎すべきだが、保育の質や量の確保が伴わなければ、結局は子どもや家庭にしわ寄せがいく。行政は待機児童対策と同時に、保育士の処遇改善なども急ぐべきだ」と指摘している。



