歩幅10cm広げるだけで寿命が延びる?医師が推奨する「3000歩」ウォーキング法
歩幅10cm広げ寿命延ばす「3000歩」ウォーキング法

「健康のためには1日1万歩歩きましょう」という言葉を信じて、毎日歩数計を気にしている人は多い。しかし、リハビリテーション科医の安保雅博氏(博士・医学)は、この「1日1万歩」に明確な医学的根拠はないと指摘する。同氏によれば、重要なのは歩数ではなく「歩き方」、特に歩幅を10cm広げることだという。

「1日1万歩」の誤解と真実

「1日1万歩」の起源は、1986年に発表された米国の研究(Paffenbarger RS Jr et al: Physical activity, all-cause mortality and longevity of college alumni. N Engl J Med 1986;314:605-613)にある。この研究では「1週間で約6万9000歩を歩くことが健康増進に役立つ」とされ、キリの良い数字として「1日1万歩」が広まった。しかし、1万歩を歩くには約2時間かかり、仕事や家事で忙しい人や高齢者にとっては現実的ではない。安保氏は「今日は歩数が足りない」と焦るあまり運動が苦痛になるケースも少なくないと警鐘を鳴らす。

歩幅10cm拡大で運動強度アップ

運動強度を示す指標として「メッツ(METs)」がある。同じ1000歩でも、のんびり散歩する場合と息が弾む速さで歩く場合では、体への刺激が大きく異なる。6213名の男性を対象とした研究(New England Journal of Medicine, 346: 793-801, 2002)では、日常生活でラクにできる運動強度が5メッツ以下の人が、強度を1メッツ上げると生存率が12%上がることが報告されている。

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安保氏は「何も意識していない歩き方(普通歩行)」から運動強度を1メッツ上げる最も簡単な方法として、「歩幅を10cm(握りこぶしひとつ分)広げること」を推奨する。これにより、歩数が同じでも運動強度が増し、効率的な健康効果が期待できる。

「歩幅10cm増、3000歩」で7000歩分の効果

歩幅を10cm広げて3000歩歩けば、通常の歩行で7000歩歩くのと同じ運動強度が得られるという。つまり、少ない歩数で効率的に体を動かせる。高齢者にとっては、無理なく続けられる上に、寝たきり予防にもつながる。安保氏は「死ぬまで歩ける体」をつくるために、歩幅を意識したウォーキングを推奨している。

「かかと・つま先・ひじ」の3点を意識

効果的なウォーキングのためには、歩幅だけでなくフォームも重要だ。安保氏は「かかとから着地し、つま先で蹴り出す。ひじは90度に曲げて後ろに引く」という3点を意識するようアドバイスする。これにより、歩行がより効率的になり、運動強度も高まる。同氏の著書『歩幅を見れば、寿命がわかる 「死ぬまで歩ける体」のつくり方』(アスコム)では、具体的な方法が詳しく解説されている。

まとめ:歩数より歩き方

「1日1万歩」に縛られる必要はない。歩幅を10cm広げ、3000歩を目標に歩くことで、十分な運動効果が得られる。忙しい現代人や高齢者でも無理なく実践でき、健康寿命の延伸につながる。安保氏は「どんなふうに歩いたか」を重視し、正しい歩き方を身につけることが重要だと強調している。

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