万博が結んだ日本とサウジの研究、与論島でサンゴ再生へ小さな一歩
万博が結んだ日本とサウジの研究、与論島でサンゴ再生へ

大阪・関西万博で生まれた日本とサウジアラビアのつながりが、鹿児島県・与論島の海で、傷ついたサンゴ礁を再生させる技術へと姿を変えようとしている。

与論島沖で人工サンゴの試験

8月上旬、与論島沖の「ヨロンブルー」と呼ばれる青く澄んだ海に、関西大化学生命工学部の上田正人教授(52)が潜った。水深3メートルの海底には金属で組まれた台が設置され、3Dプリンターで作った白い人工サンゴが並んでいる。

上田教授は長さ約5センチのチタン製クリップを取り出し、人工サンゴに取り付けていった。クリップの表面には1、2ミリほどの生きた「ポリプ」というサンゴの個体が付着している。人工サンゴにポリプが広がり、成長していくかを調べる。

従来法より傷が少ない増やし方

天然のサンゴにクリップを付け、付着したポリプを人工サンゴに移す。サンゴの一部を折って増やしていく従来法に比べ、傷をほとんどつけずに増やせる可能性があるという。

チタンは、人間の体内に埋め込む医療機器にも使われる。もともと骨の再生を研究していた上田教授は、サンゴの成長と骨形成の過程に共通点を見いだし研究を始めた。

サンゴ再生に向けた新しい取り組みは、万博をきっかけに始まった。日本とサウジアラビアの研究者が連携し、与論島の海で実証試験を進めている。