地震2年半振り返る重蔵神社禰宜 能門さん、炊き出しや物資配布の活動語る
地震2年半振り返る重蔵神社禰宜 能門さん

石川県輪島市の重蔵神社禰宜、能門亜由子さん(50)が、能登半島地震から2年半を振り返り、神社を中心とした支援活動の経験を語った。

地震発生時の混乱

地震は元日の午後、境内が初詣の参拝客でにぎわっているときに発生した。天気が良く、「いい年になるね」と話していたという。最初の揺れで全員が屋外に避難し、その直後に経験したことのない激しい揺れに見舞われた。「地面が波打ち、砂が舞い上がる。ものすごい地鳴りもしました」と振り返る。津波警報が発令され、すぐに高台へ避難。朝市通り周辺の火災が拡大する様子を目撃した。

翌日からの炊き出しと物資支援

翌2日、食料不足を懸念し、家族と相談して炊き出しを決意。神社に保管していたおはらい料のコメを使い、倒壊した社務所から取り出しておにぎりを作った。1月上旬には近くで炊き出しをしていた飲食店関係者らとチームを組み、米国の民間団体の支援も受けて大規模な炊き出しが可能になった。道路被害が大きく外部の支援が届かない中、共助で乗り切る必要があった。

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5日からは物資配布を開始。食べ物や簡易トイレなど日用品を全国から集め、金沢市の石浦神社が受け入れ、運搬を担った。6月には被災地で活動するNPO法人ピーク・エイド(山梨県)理事長で登山家の野口健さんらも加わり、野菜支援プロジェクトを発足。全国の自治体に活動が広がり、物資配布は約2年続いた。

能門さんは「物資で生活の助けになればと思っていたが、知人や近所の人に会うのを楽しみに来る被災者が多かった」と述べ、外に出る機会やコミュニティを失った被災者にとって交流の場となった意義を強調。今後は神社近くにプレハブ型の食料品店を開設し、交流スペースも設ける予定だ。

神社の被害と地域との絆

地震で神社は拝殿が全壊、本殿が半壊する大きな被害を受けた。能門さんは「神社のお祭りや年中行事は地域の協力があってこそ長い歴史をつないできた。災害で地域の方が困れば、地域のために協力したいと考えていた」と話す。

輪島市は明治の大規模火災で神社が焼失し、昭和には度重なる水害に見舞われた歴史がある。水害時にも炊き出しを行った話を祖父や父から聞いていたという。地震から1か月後の節分では、地域の要望で豆まきを開催。「みんなで会って話して笑って。普段なら普通のことだが、輪島の人たちにとってこうした行事が癒やしや活力になっていると改めてわかった」と語る。

現在、ボランティアや学生らが祭りの維持に参加しており、能門さんは「そういう方が輪島に愛着を持ってくれればうれしい。歴史や伝統をつないでいくことは大事にしなければいけない」と述べた。

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