28日に熊本県で最大震度7を観測した「令和8年熊本地震」で、県災害対策本部は30日、新たに5人の死亡が確認され、死者は17人になったと発表した。心肺停止は6人で、連絡が取れていない人もいる。県内では約400か所に避難所が設けられ、避難者は約1万人に上る。
地震後の爆発事故が発生した「イオンモール熊本」2階のアパレル店で、アルバイトとして働く男性(21)が読売新聞の取材に応じた。「もう少し遅ければ、自分も吹き飛んでいた」。モール外に出てから数分後に起きた爆発前後の状況を振り返った。
地震発生から避難まで
同日午後4時27分、店内で接客中に床がわずかに揺れた。その1、2秒後、立っていられなくなるほどの横揺れになった。客のスマートフォンから緊急地震速報のアラーム音が鳴り、モールの警報音も館内に響いた。マネキンが次々と倒れ、アクセサリーを飾っていた安定性の高い商品棚も倒れた。床に手をついて揺れが収まるのを待った。
揺れが止まると、混乱する客を同僚と協力して落ち着かせ、店内から通路に出るよう呼びかけた。止まったエスカレーターを歩き、1階まで誘導し、建物北側のモール外に避難させた。
財布を取りに戻る
一安心したが、財布を忘れたことに気づいた。避難から約30分後、モール内に一部の従業員らが戻り始めたのに続き、自身も戻った。スプリンクラーが稼働しており、噴射口以外の場所からも滝のように水が出ていた。「何かが腐ったような鼻に残る臭い」がフロアに充満していたという。
爆発の瞬間
2階の南側中央付近にある従業員専用の休憩室で財布を回収し、建物外に出た。その数分後、「ドカーン」という爆発音が耳をつんざいた。北側入り口の自動ドアのガラスがバリバリと割れ、近くでしゃがんでいた女性にガラスが降りかかった。慌てて女性の手を引き、粉じんで視界がほぼない中、無我夢中で建物から離れた。
訓練不足と後悔
同店で働き始めて3か月。有事のマニュアルは知らず、地震の避難訓練を受ける間もなく被災した。モールでは、捜索・救出活動が続く。「財布を取りに戻った判断は間違っていた。取り残された人が何とか早く見つかってほしい」と話した。



