英国鉄道を襲う記録的猛暑
2026年5月、ロンドンは5月として史上最高の35度を記録した。この異常な暑さは、イギリスの鉄道網に深刻な影響を及ぼしている。冷房設備のない地下鉄車両は灼熱地獄と化し、線路のゆがみや信号障害が相次ぎ、ダイヤは大幅に混乱した。
気候変動への適応を迫られる鉄道
ロンドンの主要ターミナルであるヴィクトリア駅には、気候変動への適応をテーマにした展示「ザ・サマー・レール・ガーデン」が設置されている。4メートル四方のスペースで、レール温度上昇、土壌乾燥、地盤収縮、信号設備への影響などが紹介されており、当局の危機感の高さがうかがえる。
過去の気候関連事故
気候変動が原因とみられる災害は増加傾向にある。2016年にはロンドン郊外のワトフォードトンネル付近で土砂崩れが発生し、列車が脱線、対向列車に接触する事故が起きた。2020年8月にはスコットランドで局所的豪雨による土砂崩れで列車が脱線し、死傷者が出た。2016年2月にイングランド北部のイーデン・ブロウズで発生した大規模な地滑りでは、翌年3月まで路盤改良工事のため運休を余儀なくされた。
鉄道網は猛暑に耐えられるか
イギリスの鉄道事業者は気候変動を現在進行形の経営課題として認識している。2022年7月にはロンドンで40度を超える気温を記録し、今年5月には35度超えを達成。今夏の気温がどこまで上昇するか、鉄道網が酷暑に耐えられるかが懸念されている。日本でも豪雨災害による鉄道不通が頻発しており、気候変動が鉄道運営上のリスクであることは決して他人事ではない。



