交通空白で年10兆円の経済損失、初の試算を国交相に報告へ
交通空白で年10兆円の経済損失、初の試算

バスや鉄道の利用が難しい「交通空白」によって、就労時間の減少などによる経済損失が全国で年間約10兆円に上るという試算を、コンサルティング会社「EYストラテジー・アンド・コンサルティング」(東京)がまとめた。7月9日午後、金子国土交通相に報告される。交通空白による経済損失の規模が明らかになるのは初めてとみられる。

試算の内訳と算出方法

試算は、交通空白地区に暮らす現役世代の人数や、家族送迎を行っているケースの就労時間などを基に算出された。内訳は、送迎による所得機会損失が約5.8兆円、訪日外国人客の観光消費機会の損失が2.3兆円、外出しないことによる消費機会損失が1.2兆円、高齢者の介護・医療負担の増大が0.8兆円などで、合計約10兆円に上る。

交通空白地区の現状

国土交通省は、バス路線の減便やタクシーの減少などで公共交通機関が利用しにくく、自治体や住民が解消に向けた対策が必要な場所を「交通空白地区」と定義。今年6月には、全国で2740か所に上り、前年から約680か所増加したことを明らかにした。福島県いわき市で14か所、新潟県糸魚川市で10か所、鹿児島市で22か所など、地方を中心に拡大している。

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政府の対策

国交省は2025~27年度を交通空白解消に向けた集中対策期間と位置づけている。今国会では、自治体主導でスクールバスや病院の送迎用車両などを住民向け運送サービスに活用しやすくする「改正地域公共交通活性化・再生法」が成立した。今回の試算を受け、国交省は交通空白を地域の移動手段の問題だけでなく、地域経済活動を妨げる課題と捉え、自治体などが有償運行を管理する「公共ライドシェア」や予約型乗り合いタクシーといった新たな移動手段の導入を財政支援などで後押しする方針だ。

岐阜県白川町では、小学生らのスクールバスを高校生らが通学で利用する取り組みが行われている。

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