東武特急衝突4人死亡 作業中の事故繰り返すな
東武特急衝突4人死亡 作業中の事故繰り返すな

東武鉄道で痛ましい事故が起きた。看板列車の特急「スペーシアX」が除草のため線路上にいた作業員をはねて4人が死亡した。運輸安全委員会が鉄道事故調査官を現地に派遣し、栃木県警は業務上過失致死容疑も視野に入れて関係者からの事情聴取を始めている。安全確保が最優先であるはずの保線作業でどうして事故が起きたのか。原因を徹底的に究明すべきはもちろんのこと、事故を防げなかった東武鉄道の責任も厳しく問われる。

事故の概要と伝達トラブルの疑い

事故は栃木県鹿沼市にある東武日光線新鹿沼駅構内で20日に起きた。事故当時は現場から315メートル離れた踏切付近に中継見張り員、80メートル付近に列車見張り員と、2人の見張り要員が配置されていたが、何らかの伝達トラブルがあったとみられる。列車の運転士は「見張りの合図を確認して進入した」という。

2人の見張り要員は、互いに列車接近と退避完了を確認しあう役割だった。ところが中継見張り員は事故直後、「列車見張り員と意思疎通できる状況ではなかった」と話したようだ。東武鉄道は詳細な状況を速やかに把握し、確実に再発防止につなげなくてはならない。

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過去の事故と教訓の活用

残念なのは、線路上で作業員が列車にはねられる事故が後を絶たないことだ。平成11年には東京都内のJR東日本の貨物線で作業員5人が回送列車にはねられて死亡し、同18年には鳥取県のJR西日本伯備線で保線作業員3人が亡くなった。今年3月にも香川県のJR四国予讃線で作業員が死亡している。

東武鉄道では平成17年、都内の竹ノ塚駅南側の「開かずの踏切」で、踏切の保安係員が電車の接近を見落として遮断機を上げ、4人がはねられ、2人が死亡する大事故があった。このときの「人間の目による安全確認は完全ではない」という教訓を生かせず、今回の事故につながったのならば痛恨事である。

安全対策の強化と国の支援

JR東日本は、パソコンと携帯端末を駆使し、作業中の列車接近を防ぐ「線路閉鎖」の手続きをシステム化している。同時に、無線警告機を作業員全員に装着させ、列車接近を即座に知らせている。鉄道各社はこうした取り組みを徹底すべきだ。

国も事故の原因究明にとどまらず、AI(人工知能)を活用した安全対策の普及へ向け鉄道会社を支援してもらいたい。

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