熊本県水俣市に位置する「エムズシティ」は、かつて賑わいを見せた大型ショッピングモールが、今では廃墟と化し、その歴史には切ない物語が隠されている。本稿では、この廃墟モールがたどった道のりを、ショッピングセンター研究家・ライターの坪川うた氏の分析をもとに詳しく解説する。
廃墟モール誕生の7つの要因
廃墟モールの誕生には、複合的な要因が重なっている。坪川氏は、以下の7つを主要因として挙げている。
- ①競合施設の存在
- ②モータリゼーションの進展
- ③アクセスの悪さ
- ④動線の設計ミス
- ⑤施設規模の不適合
- ⑥運営会社の破綻
- ⑦核テナントの撤退
「エムズシティ」の前身である「寿屋水俣店」は、地元の強力な競合である水光社との激しい価格競争に巻き込まれた。安売り合戦で消耗した寿屋は、最終的に商売敵である水光社に買収されるという皮肉な結末を迎えた。しかし、水光社による運営後も、モールは閑散とした状態が続いた。
生協との競争に敗北
さらに、地域の生協(生活協同組合)との競争に敗れたことが、モールの衰退に拍車をかけた。生協水光社は、地元住民の支持を集め、2014年には他の生協と合併して「生協くまもと」となり、さらに勢力を拡大した。その結果、エムズシティの建物の半分が閉鎖され、廃墟モールとしての姿を残すこととなった。
都市間競争の激化
廃墟モール化の背景には、近隣店舗との競合だけでなく、都市間競争の激化も大きく関わっている。特に、モータリゼーションの進展により、消費者はより遠方の大型商業施設へと流れるようになった。これにより、水俣市のような地方都市の中心商店街やモールは、顧客を奪われる結果となった。
坪川氏は、都市間競争が①競合施設の存在と②モータリゼーションの進展と密接に関連していると指摘する。続く後編では、この都市間競争の詳細に迫る予定である。



