所沢簡裁のミスで盗撮未遂男性に刑罰科されない可能性、最高裁が科料命令破棄
所沢簡裁ミスで盗撮未遂男性に刑罰科されない可能性

所沢簡易裁判所が、盗撮未遂事件で略式起訴された男性に対し、法定刑にない「科料40万円」の略式命令を誤って出していたことが明らかになった。この命令は一度確定したが、検察当局の非常上告を受け、最高裁判所第2小法廷(高須順一裁判長)は2026年7月10日、科料とした略式命令を破棄する判決を言い渡した。しかし、この判決によって男性に刑罰が科されない可能性が出てきている。

事件の経緯と簡裁の誤り

男性は昨年、性的姿態撮影処罰法違反(撮影未遂)で略式起訴された。この罪の法定刑は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」である。最高検察庁によると、検察側は罰金刑を求めたが、所沢簡裁は法定刑にない科料の略式命令を出し、それが確定した。科料は軽微な犯罪に科される財産刑で、金額は「1000円以上1万円未満」と定められている。ところが、所沢簡裁は40万円という科料の上限を大幅に超える金額を命じた。

検察が誤りに気づき、確定後に是正を求める非常上告を行った。非常上告は、確定裁判に法令違反がある場合に検察官が最高裁に申し立てる特別な手続きである。

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最高裁の判断とその限界

最高裁第2小法廷は判決で、「科料としたことは法令違反で、罰金40万円にするべきだ」と指摘した。しかし、非常上告の事件では、科料より重い罰金を言い渡すことはできないため、略式命令を破棄するにとどめた。つまり、最高裁は誤った命令を取り消したものの、代わりに適切な刑罰を科すことはできなかった。

この結果、男性に対しては現在、有効な刑罰が存在しない状態となっている。今後、検察が対応を検討するが、男性に刑罰が科されない可能性がある。検察は再起訴などの手段を取ることも考えられるが、手続きの複雑さから実現しない可能性も指摘されている。

影響と今後の課題

今回のケースは、簡易裁判所のミスが原因で、本来なら罰金刑に処されるべき被疑者が刑罰を逃れる可能性があるという異例の事態となった。科料の金額も法定範囲を大幅に超えており、簡裁の判断に重大な過失があったことがうかがえる。

司法関係者からは、「簡易裁判所の略式命令手続きの運用を見直す必要がある」との声が上がっている。また、非常上告の手続きでは、誤った命令を破棄してもより重い刑にできないという制度上の限界が露呈した。法務省は今後、同様の事例が再発しないよう、簡裁への指導を強化する方針とみられる。

最高裁の判決は、司法のミスが被疑者の権利に影響を与える可能性を示すものであり、刑事手続きの厳格な運用が改めて求められることとなった。

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